なんと「大阪」で「津波の犠牲者」が「13万2967人」に達するという「衝撃的な被害予測」
犠牲者のほとんどは津波
南海トラフ巨大地震発生時、大阪府の被害想定では、全体の全壊建物17万9153棟、そのうち、液状化によるもの7万1091棟、地震火災によるもの6万1473棟、津波によるもの3万1135棟、揺れによるものは1万5375棟となっている。人的被害は全体の死者13万3891人のうち、津波によるもの13万2967人、揺れによるもの735人(屋内収容物移動・転倒・屋内落下物含む)と想定している。大坂府の被害想定では、犠牲者のほとんどが津波によるもので、揺れによる犠牲者は735人としているが、南海トラフ巨大地震発生時、大阪府は極めて激しい揺れに見舞われる可能性がある。 【画像】「南海トラフ巨大地震」で日本が衝撃的な有り様に…そのヤバすぎる被害規模 モデル調査会による推計では、南海トラフ巨大地震が発生すると、大阪府の大部分が震度6弱~震度6強の大揺れとなる。この地震の特徴は、想定震源断層域に陸域を含んでいるため、直下型地震のような激しい揺れが長く続く可能性があることである。とくに、南海トラフ巨大地震の想定震源域には、四国や紀伊半島の下や、淡路島のすぐ南も震源域に入っている。もし、大阪に近い震源域が動けば大阪の揺れは震度7になる可能性もある。大揺れに対する準備対策もしっかり行う必要がある。 気象庁の震度階級の説明でも、「震度6強では、立っていることができず、はわないと動くことができず、飛ばされることがある激しい揺れ。固定していない家具のほとんどが移動し倒れるものが多くなる。耐震性の低い木造建物は傾くものや倒壊するものが多く、耐震性の高い木造建物でも壁や柱がかなり破損するものがある。鉄筋コンクリート造の耐震性の低い建物は倒壊するものがあり、壁、梁(はり)、柱などの部材に斜めやX状のひび割れ・亀裂が入ることがある、1階あるいは中間階の柱が崩れ、倒れるものがある揺れである。また、耐震性の高い建物でも壁、梁、柱などの部材にひび割れ・亀裂が多くなる。多くの建物で壁のタイルが剥がれたり、窓ガラスが割れたりして落下する。また、補強されていないブロック塀のほとんどが崩れる」。などと書かれている。 南海トラフ巨大地震で震度6弱~震度6強の揺れに襲われる大阪では、斜面などでがけ崩れや地すべり、大きな地割れが生じたり、大規模な地すべりや、山体崩壊が発生する危険性がある。水位が高くゆるい砂礫地盤では液状化が発生することがある。液状化が進行すると、地面からの泥水の噴出や地盤沈下が起こり、堤防や岸壁が沈下・損壊、下水管やマンホールが浮き上がったりする。大阪府の地形、地層は、河川によって運ばれた土砂などの堆積物によって形成された沖積低地・堆積層、埋め立て地、丘陵地・台地、山地など多様な地形・地層で形成されている。その中で大部分の市街地は、沖積低地や埋め立て地にあり、地震時の揺れ方が大きくなる地域である。また、大阪府内には2,357箇所の急傾斜崩壊危険箇所、145箇所の地すべり危険箇所、及び土砂災害警戒区域が8,345箇所、土砂災害特別警戒区域7,758箇所がある(21年現在)。 そうした土砂災害危険区域の周辺に住宅や公共施設等が立地している箇所もあるが、急傾斜崩壊防止施設等の整備は必ずしも十分ではなく、南海トラフ巨大地震が発生すれば、住宅等が被災する可能性がある。2018年北海道胆振東部地震でも、大規模な斜面崩壊が発生した。犠牲者43人のうち36人が土砂災害によるものだった。 さらに関連記事<「南海トラフ巨大地震」は必ず起きる…そのとき「日本中」を襲う「衝撃的な事態」>では、内閣府が出している情報をもとに、広範に及ぶ地震の影響を解説する。
山村 武彦(防災システム研究所 所長・防災・危機管理アドバイザー)