教える側になるということ~太極拳と元気リーダー~
退職後に習った太極拳
そんな「役割」の「究極形」と言えるかもしれない一つが、スタッフや先生になることだろうか。参加した健康体操では、実際に先生役を担っていた高齢者2人にも出会えた。ご紹介しよう。まずは、「運動し隊」メンバーの小出郁子さん(70代)。 小出さんが太極拳を習い始めたのは、実は50歳の時だとか。世田谷区の別の地区に生まれた小出さんは、経営していた洋裁店を畳んだのを機に仕事を止め、介護ボランティアを始めると共に太極拳を習い始めた。運動不足を解消する目的だった。 その後、研鑽を積み、10年後には指導員の資格を取得。今は所属している団体から派遣される形で、週に2つ、2時間の講座を受け持つ。 「人から何かを習うのは何歳になっても楽しいですね。教えるのは緊張しますけど、緊張が伝わらないように、力を抜いてやっています」(小出さん、以下同) ななつのこと縁ができたのは、この地区に引っ越してきたおよそ10年前。 別の運動教室で知り合った人に声をかけられて、ななつのこで草花を植えるボランティアを行うようになり、その縁で「運動し隊」のスタートメンバーにもなった。 ななつのこでも太極拳を教えることになったのは、「人気メニューを取り入れることで、メンバーを増やしたい」と考えたメンバーに提案されたから。 そのため、健康体操には習う立場で参加して、太極拳の時は教える立場に切り替わる。 「教えるようになってから、『前はここまで教えたから、次はこうしよう』なんて、何日も前から内容を組み立てて、頭を働かせています」と小出さん。 メンバーの目論見通り、太極拳は人気のメニューとなり、4月からは健康体操の時とは別に、さらに毎月1回の教室を定期開催することになった。 「太極拳の動きを説明する時に体のつくりを一緒に伝えたりするのですが、きちんと伝えるために本や資料を読んで準備しています」と、小出さん。 なお、小出さんがななつのこで教える時は、「運動し隊」から一定の謝礼が支払われている。