箱根駅伝Stories/法大の新たなスピードキング・大島史也「毎日の積み重ねが結果に結びつく」
監督からの教えで開花
そんな大島に、坪田監督はジョグベースで距離を踏むことの大切さを説いた。今季前半は故障もありトラックは6月の全日本大学駅伝関東選考会10000m(1組12着)が最後。「予定していたホクレン・ディスタンスチャレンジも回避し、その分夏合宿で走り込もう」と大島は練習に取り組んだ。 坪田監督は夏合宿で淡々と距離を踏む練習をこなす大島に、秋の開花を予想していた。大島は「高校時代は気づいていませんでしたが、ジョグや距離走をベースにしてロングインターバルで仕上げていくというスタイルが、今自分の中でハマってきています」と語る。 ベースが作り上げられるからこそレースで余裕度が出るという感覚。試合後のダメージも少なく、次の日から練習に入れるようにもなった。「長距離走で大切にしていることは、練習を継続する事。陸上はきつい所もあるし、気持ち的に逃げたくなることもありますが、そういう所で逃げてはだめだなと思っていますし、毎日の積み重ねが結果に結びつくと、信念を持ってやっています」。来季は5000mで日本人学生最高(13分09秒45)、10000mは27分30秒切りを目指す大島は、箱根を目指す過程でトレーニングの大事な組み立て方をつかんだ。 いよいよ、大好きで仲良しな4年生の先輩たちとの最後の箱根駅伝に挑む。主将の小泉樹(4年)が上尾ハーフで1時間2分13秒をマークし、大島とのどちらかが1区、2区を担うことは濃厚。小泉も来季は最上級生となる大島への期待は大きい。「自分の結果だけではなく、チームをどう上げていくかも考えられればいいですね。ただ、全体のことを考えたらキリがなくなったりもするので、自分の競技に集中することとのバランスをうまく調整することが大事になってきますかね」。 法大記録を持っていた西池和人は第89回大会で1区3位。徳本一善も坪田監督と同時期に『オレンジ旋風』を巻き起こした。大島は第101回大会でどんな走りを見せてくれるだろうか。
荒井寛太/月刊陸上競技