資金調達に奔走した嫁たち、息子は潜在的大統領候補…強くなったトランプ一族[トランプ当選](2)
◇権力者に浮上したトランプ家の嫁たち 今回の大統領選挙を通じて「トランプ家の嫁たち」もトランプ一家の「新たな権力者」に浮上し、ホワイトハウス入りの可能性まで提起されている。 トランプ・ジュニア氏のフィアンセ、ギルフォイル氏は遊説現場を奔走して将来の舅を支援した。弁護士であり、保守志向放送フォックス(FOX)ニュースのニュースキャスターだったギルフォイル氏はトランプ・ジュニアよりも8歳年上で、将来の姑であるメラニア夫人(54)よりも1歳年上だ。前妻バネッサ・ハイドンさんとの間に5人の子女がいるトランプ・ジュニア氏は2018年に離婚した後、ギルフォイル氏と交際して2022年に婚約した。 ギルフォイル氏の前夫は民主党の潜竜に挙げられるカリフォルニア州知事のギャビン・ニューサム氏(57)だ。だが、ギルフォイル氏はトランプ・ジュニア氏と交際する前からトランプ氏の熱烈な支持者であり、2020年にはトランプ・キャンプの募金責任者であり法律顧問として活動した。ギルフォイル氏は民主党大統領候補であるカマラ・ハリス副大統領との悪縁でも注目された。ギルフォイル氏は2000年当時サンフランシスコ地方検察庁所属検事だったハリス氏が同検察庁の検事の職を探していた自分を牽制(けんせい)するために電話をかけてきて「新規採用の計画はない」といううそをついたと主張した。 次男エリックの妻ララ夫人は共和党全国委員会(RNC)共同議長として今回の選挙資金募金を総指揮した。共和党の「金庫番」を任せる程、トランプ氏は2番目の嫁を寵愛している。ララ氏は大統領選挙が迫ると、ダンスをしながら投票を促す動画を投稿した。 トランプ氏が2020年再選に失敗した後、政治と距離を置いてきたイバンカ氏とは違い、ララ氏はテレビや公開行事などに繰り返し登場し、トランプ氏に対する支持を訴えながら変わりない忠誠心を示した。このため「ララがイバンカの席を占めた」という評価が出てきた。ララ氏はフォックスニュースなどでプロデューサーを手掛け、エリック氏とは2014年に結婚して2人の子女をもうけた。 トランプグループ副社長であるエリック氏は父親が2016年ホワイトハウスに入城した後、不動産やホテルなどトランプ家業を主導している。エリック氏は父親が会社と距離を置くだろうと話したが、第1期の時のように利害衝突問題が浮上する可能性がある。 9月にトランプ氏はオンライン懇談会でトランプ・ジュニア氏とエリック氏が共同で始めた仮想通貨プラットフォームを広報して論争になった。このため「トランプが再執権した後、家族事業を助けるために仮想通貨に親和的な政策を展開したり、トランプとの縁を狙った人々がこのプラットフォームの商品を購入したりする可能性がある」という懸念も出た。 ガーディアンは「イバンカ夫婦が権力から遠ざかり、長男と次男夫婦の影響力が大きくなった点は、トランプ家族内の強硬な声に後押しされているという証拠」と伝えた。 ◇イバンカ・クシュナー復帰の可能性も 長女イバンカ氏は7月、演説なしで共和党全党大会の舞台に立ったことを除いて今回の大統領選挙レースにはほとんど姿を見せなかった。2016年「トランプ大統領選挙勝利の1等功労者」に挙げられ、第1期当時は実質的なファーストレディの役割を果たしたこととは対照的だった。2022年トランプが3回目の大統領選挙出馬を決めると、イバンカ夫婦は「家庭に集中する」として政治から手を切った。一部では各種犯罪容疑で起訴されたトランプ氏と距離を置いているとの解釈も出てきた。 だがイバンカ夫婦が政治舞台に再登場する可能性も排除することはできない。イバンカ氏は最近、あるポットキャストに出演して「父が再執権する場合、再び政治をする考えはあるか」という質問に「(政治に)オールインするか完全にしないか」と答えた。 ユダヤ人である夫のクシュナー氏は第2期でも米国の対中東政策の「キーマン」になる可能性がある。9月ロイター通信はクシュナー氏がホワイトハウスを離れた後もサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子と会ってイスラエルとサウジアラビアの関係正常化について意見を交わしたと報じた。 クシュナー氏は先月29日、ニューヨーク・タイムズ(NYT)に「トランプ氏が諮問や援助を求めればいつでも応じる」とした。クシュナー氏はトランプ政府でイスラエルと一部アラブ国家が結んだ関係正常化協定である「アブラハム協定」妥結に主導的な役割を果たした。そのためクシュナー氏の「登場」はイスラエル戦争を巡る中東情勢に影響を及ぼしかねない。クシュナー氏はトランプ氏と同じようにハマス・ヒズボラなどと戦争中のイスラエルの強硬対応を支持している。 第1期当時、「隠遁のファーストレディ」と呼ばれたメラニア夫人は選挙終盤に遊説場にサプライズ登場して支持演説を行い、回顧録でトランプ側と違って中絶権を擁護して存在感を示した。しかし内省的な志向のメラニア夫人の行動は第1期当時と大きく変わらないという観測が支配的だ。 韓国梨花(イファ)女子大学の朴元坤(パク・ウォンゴン)教授は「トランプにとって家族は個人の生活というだけでなく、政治の中心でもあることから、韓米関係を考慮してトランプ家族の権力構図を綿密に調べてネットワーク形成などに注力する必要がある」と話した。