使用済み核燃料搬出担保へ「覚書」を 青森県議会特別委、中間貯蔵施設(むつ市)巡り質疑
青森県議会原子力・エネルギー対策特別委員会は12日、9月までに事業開始を予定する使用済み核燃料中間貯蔵施設(むつ市)の安全協定案について質疑した。最大会派・自民党は、事業継続が困難になった場合に核燃料を搬出させる担保として、安全協定とは別に「(事業者などと)覚書を締結すべき」(木明和人委員)と県に迫った。宮下宗一郎知事は「必要性も含めて検討したい」と答えるにとどめたが、覚書を求める会派は他にもあり、事業開始に向けた論点の一つに浮上した形だ。 原子力事業者との覚書を巡っては、県が1998年に再処理工場(六ケ所村)への使用済み核燃料搬入に際し、日本原燃と交わした先例がある。「再処理事業の確実な実施が著しく困難となった場合」に核燃料の施設外搬出を含め、適切な措置を講じると明記した。 中間貯蔵施設で最長50年間保管する使用済み核燃料は、国の核燃料サイクル政策に沿って全てを再処理工場へ運ぶことが前提。質疑で木明委員は「貯蔵期間(最長50年)満了前であっても搬出するための担保」として、覚書を結ぶべきと主張した。公明党の夏坂修委員は、協定案に「肝心な搬出先が明示されていない」と指摘。「50年以内の搬出を確実にする」ため、覚書の締結を担保とするよう県に求めた。 覚書の必要性については、共産党の吉俣洋委員も取材に「事業の実施が困難となった場合、核燃料を施設外に搬出させる担保となる覚書などを締結すべきだ」との見解を示した。 一方で鹿内博委員(無所属)は取材に「核燃料を県外、発生元に返す担保として覚書や口約束の『確約』ではなく、少なくとも閣議決定が必要」と実効性を高める形が望ましいとした。 宮下知事は4月の記者会見で覚書などを例に挙げ、「過去の例に照らして(搬出について)確認する」と述べた経緯がある。12日の質疑では「さまざまな議論を踏まえ、総合判断に向けて締結の必要性も含めて検討したい」と答弁した。 木明、夏坂両委員は覚書のほか、協定を結ぶに当たり、知事が関係閣僚と意見を交わす「核燃料サイクル協議会」開催の必要性にも言及した。