米従軍カメラマン・オダネル氏の苦悩 生前親交、会津若松の女性が語る
米従軍カメラマンとして原爆投下後の広島や長崎を撮影した故ジョー・オダネル氏。生前、親交があった若松栄町教会(福島県会津若松市)の片岡輝美さん(63)が22日、南相馬市で講演し「ジョーの写真はたくさんの物語を伝えている。私たちはどんな思いで写したか考えていきたい」と思いを語った。 オダネル氏は1945年に広島や長崎で撮影し、93年には同教会などで写真展や講演会を開いた。片岡さんら教会員と交流を深め、教会員の坂井貴美子さんと結婚。オダネル氏が2007年に85歳で死去した後、教会に写真が寄贈された。 片岡さんはオダネル氏が戦後、原爆の後遺症や心的外傷後ストレス障害(PTSD)に悩まされていたことに触れ「核を使った国の加害者としての責任と、被害者として自分の身に起きたことを伝えるという両方の責任を感じていた」と述べた。あまりの惨状にオダネル氏が写真を半世紀近くトランクにしまっていながらも、写真を発信するようになった経緯について「写真は事実を語ると信じていた。だから撮り、つらいけれども見ていただく。見ていただくことで、それぞれが考えてもらいたいという思いがあった」と明かした。 一方、オダネル氏が生前「もうすぐ写真は事実を伝えなくなる。加工ができ、事実を消したり変えたりする時代が来ている」と危惧していたことも紹介。片岡さんは「情報があふれながらも事実が見抜けない社会になっている。私たちは事実を見抜く力を蓄えなければいけない」と訴えた。
12月15日まで写真展
南相馬市小高区の「おれたちの伝承館」は12月15日まで、オダネル氏の写真展「トランクの中の日本」を開いている。オダネル氏が長崎で撮影した「焼き場に立つ少年」など25点が並ぶ。 日本原水爆被害者団体協議会のノーベル平和賞受賞を記念して企画した。片岡さんの講演会は、写真展の一環で開催された。開館日は月、火、土、日曜日。入館無料。時間は午前11時~午後4時半。問い合わせは同館(電話090・8849・6864)へ。
福島民友新聞