札幌中心部、目立つ空きオフィス 空室率8年ぶり4%台 鈍る需要と相次ぐ新築
札幌市で賃貸オフィスの空きが目立っている。中心部の空室率は5カ月間で1ポイント超上昇し、直近の9月は2016年以来8年ぶりに4%台となった。けん引役だったコールセンター需要が弱まり、再開発に伴う企業移転も一服感があるため。新築ビルの完成ラッシュは続き、28年までの5年間で計6万6300坪(約21万9千平方メートル)が供給予定。賃貸面積は1割増える計算で、空室率上昇が続き、賃料は下落傾向となる可能性がある。 【動画】一足早くクリスマス サッポロファクトリーに巨大クリスマスツリー点灯 「テナント集めに時間がかかり、賃料を下げている。空きが出れば埋まった状況から潮目が変わった」。札幌でオフィス開発を手がける不動産会社幹部はため息をつく。 オフィス仲介大手の三鬼商事(東京)によると、9月の平均空室率は、前月比0.16ポイント上昇の4.08%。特に札幌駅北口地区(7.23%)が他の地区より高い。完成後も大部分で空室が続くビルも複数出てきた。 札幌中心部の空室率は10年に12%まで上昇した後、首都圏より人材獲得がしやすかったこともあって大手企業の人気を呼び、20年には一時1%台となる全国屈指の低さだった。23年から上昇基調に転じ、現在は東京(4.61%)や大阪(4.29%)に迫りつつある。 同社札幌支店は「大口の借り手となってきたコールセンターで解約の動きがある」と指摘。最近は人手不足や業務効率化を背景に、拠点の新設や拡張が下火状態で、コールセンター大手の担当者は「今後、拠点統合の可能性もある」と明かす。