Huluオリジナル「十角館の殺人」に出演する“奥智哉“江南孝明”と青木崇高“島田潔”

日本を代表するミステリー界の巨匠・綾辻行人による「館」シリーズの記念すべき第1作目で、自身の作家デビュー作でもある『十角館の殺人』(講談社文庫)の実写ドラマが、動画配信サービス「Hulu」で全5話独占配信中。今回は、綾辻が描くミステリーの魅力に迫る。 【写真】綾辻行人と熱い握手を交わす内片輝監督 ■綾辻の魅力は、想像を遥かに超えた展開と計算されたトリック 2023年10月に、タイム誌が選ぶ【史上最高のミステリー＆スリラー本】オールタイム・ベスト100に選出され、日本のミステリー界だけでなく世界に認められ快挙を成し遂げた本作。綾辻は「館」シリーズのような本格ミステリーにとどまらず、「緋色の囁き」「霧越邸殺人事件」「深泥丘奇談」「Another」など、ホラー小説や様々なジャンルを執筆し、新時代を拓いている。 ミステリー好きはもちろん、なぜ、綾辻は世界中の読者にここまで絶大な支持を得ているのか――。その筆致の特徴の一つは、一節一節が綿密に計算された叙述トリックにある。 そして、登場人物たちの豊かな会話、読者を引き込むストーリー、さらに予想を超えたどんでん返し。読み手が謎解きにワクワクしながら読み進めていく先に待ち受ける衝撃、つい前のページに戻りたくなるような物語が、綾辻作品の大きな魅力の一つとなっている。 ■「必ず映像化できる」十角館の実写化に込められた思い 綾辻作品の中でも長年、映像化不可能と言われてきた『十角館の殺人』。本作の映像化にあたり綾辻は、「どうやって実写化するの？できるの？という疑念を、やはりまず抱かざるをえませんでした。ただ、内片監督はかつて、非常にマニアックかつアクロバティックな犯人当てドラマ「安楽椅子探偵」シリーズ(有栖川有栖さんと綾辻の共同原作による深夜枠のTVドラマ)を計7作、撮ってくれた人です。その内片さんが「やりたい」というのだから、何か彼なりの(実写化のための)アイデアがあるのだろうな、とは思いました」とコメント。 そこからは、もともと親交のあった内片監督だからこそ作品を託したという、2人の信頼関係が垣間見える。一方の内片監督は、本作の映像化の企画当時から、「必ず映像化できる」という確信を持って提案し、地上波や映画ではなく、配信の構成であればできると考えていたという。 撮影中、スタジオに組まれた“十角館”のセットを見学した綾辻は、「十角館を実際に建てるとこうなるのか」と立体化した十角館を前に嬉しそうな様子だったそう。 原作通りに、十角形のテーブルや十角形のカップ等が再現されている中、原作では描かれていない十角形のランプシェードを発見した時には、細部までこだわりぬいている制作現場に対して、「本気で作品を作ってくれている」という手応えを感じたと言う。 読めば読むほど夢中になり、真相に気づいた時には衝撃が訪れ、何度でも読み返したくなる。そんな作品を執筆し続ける綾辻の作家デビュー作「十角館の殺人」の今なお語り継がれる“あの1行”を、内片監督はどのように映像化したのか、要注目だ。