「さらばCD…」ついに、パッケージ・オーディオは終焉迎えるか…「衝撃的な高音質化」で、ネットオーディオの「第2段階」が幕を開けた
CDからデータ再生への変遷
音楽を聴く手段としてデータ再生を選ぶ音楽ファンが増え始めたのは、2000年前後のことでした。21世紀に入ると音源をインターネットで販売する音楽配信サービスが始 まり、ダウンロードして再生するためのプレーヤーが発売されるようになります。北米で2001年に発売されたアップルのiPodはプレーヤーの象徴的な存在で、音源データ配信サービスでは2003年に北米で始まった『iTunesミュージックストア』がさきがけとなりました。 音源をインターネットで販売するサービスは、紆余曲折を経ながら内容が進化していきます。2007年にはイギリスの『リンレコーズ』が音質劣化のないハイレゾ音源の販 売に踏み切り、2012年には『アップル』がDRMと呼ばれるデジタル著作権管理を撤廃するとともに音質改善に取り組み、利便性と音質の両面で音楽配信は次の段階に進みました。
CDが抱える長所と短所
音楽配信の浸透にともなって起きた変化は、レコードやCDなど形のあるパッケージメディアの代わりに、デジタル化された音楽データをインターネット経由で購入し、そのデータを直接再生する方法が急速な広がりを見せたことでした。 CDが登場した1982年当時は、デジタル化された音楽データを複製して大量に流通させるためには、音楽データを収納する物理的なディスクが必要で、それが唯一の方法でした。CDはデジタル音源を記録するために開発された非常に優れた媒体の一つです。 しかしCDのようなパッケージメディアを作るためには、大規模な生産設備が必要であり、リスナーの手元に届けるために複雑な流通システムも不可欠です。店頭に在庫がなければ、注文して取り寄せる必要があります。レコード会社のストックが尽きて再プレスが難しい場合は、やむなく廃盤ということになり、聴きたくても購入できなくなってしまいます。最近は実際にそうしたケースが増えているようです。 一方、データ音源はインターネットを介して音楽データを電子的にやり取りできるため、物理的なパッケージや物流システムが不要で、欠品や廃盤も原理的にありません。音源をダウンロードしてハードディスクに保存するだけなので、時間を節約できる上に、ディスクの置き場所を確保しなくて済むメリットもあります。 増え続けるディスクを整理して管理することを目的に、パソコンを使ってCDの音楽データをiPodやスマートフォンに取り込み、データ再生に切り替える音楽ファンが増えました。