栃木県、依存症医療機関を倍増へ アルコール、薬物など専門で対応 ギャンブル「治療拠点」も選定
アルコールや薬物、ギャンブルの依存症対策の一つとして栃木県は13日までに、治療を担う「専門医療機関」を、2029年度までに現在の2倍となる11カ所以上に増やす方針を決めた。専門医療機関は、依存症の外来診療などを行う医療機関の中から県が選定している。ギャンブル依存症に関しては、情報発信や研修機能なども兼ねる「治療拠点機関」が関東で唯一ないことから、本年度内の選定を目指す。相談窓口の周知や各機関同士の連携強化も図り、依存症対策を進める。 2023年度策定した県依存症対策推進計画(24~29年度)に方針を盛り込んだ。厚生労働省は都道府県に対し、一定の基準を満たす依存症の専門医療機関を選定して、その中から治療拠点機関を1カ所以上選ぶよう求めている。 県内の専門医療機関は現在、アルコールが3カ所、ギャンブル2カ所、薬物1カ所。うちアルコール1カ所、薬物1カ所が治療拠点機関も担う。計画では29年度までに、専門医療機関をアルコールで5カ所以上、ギャンブルと薬物で各3カ所に増やすとした。治療拠点機関はギャンブルで選定し、各1カ所とする。 依存症対策全国センターによると、ギャンブル依存症の治療拠点機関は22年度末時点で31都道府県が選定。23年11月には茨城県が選定し、関東で未整備は本県だけとなった。 県によると、研修の要件を満たす医療機関がないことが要因という。一方でギャンブルに関して県に寄せられる相談は年々増えている。17年に81件だったが、21年は3倍の243件に。21年18人だった専門医療機関の受診者も22年は32人を数えた。車券などのインターネット販売の普及が背景の一つにあるとみられる。 「依存症は本人の責任である」との偏見や誤解を持つ県民は依然多く、相談や支援窓口の認知度も低いとして、県は依存症専用のポータルサイトを立ち上げ、周知を図っている。 県障害福祉課は「当事者は孤立しがち。専用サイトを検索してもらい、早めに相談や受診をしてほしい」と強調。多重債務など依存症の原因となる問題の解決に向け、関係機関をつなぐ体制の強化も目指すとしている。