【Playback箱根駅伝】第80回/駒大 往復完全Vで3連覇 亜細亜大が3位と奮闘 最優秀選手賞創設
2024年に箱根駅伝は第100回大会を迎える。記念すべき100回に向けて、これまでの歴史を改めて振り返る『Playback箱根駅伝』を企画。第1回大会から第99回大会まで、大会の様子を刻んでいく。(所属などは当時のもの) 第80回箱根駅伝総合成績をチェック
第80回(2004年/平成16年) 日本学連選抜を初編成 MVPは5区区間賞・鐘ヶ江幸治
80回大会は記念大会として出場校数こそ変わらなかったものの、日本学連選抜を初編成。通常の大会では出走できない北海道、関西、中四国地区から強力選手が集まった。 予選会は特別に箱根町の16.3kmコースで開催。城西大が初出場を決めたほか、東農大が7年ぶり、国士大が10年ぶりに本戦出場を果たした。一方で拓大は合計タイムでは通過圏内(8位)だったものの、前年から採用された関東インカレポイントの影響で出場権を逃した。 3連覇を狙う駒大が11月の全日本大学駅伝で4位に沈んだことで、優勝争いは全日本優勝の東海大、出雲駅伝優勝の日大、出雲・全日本2位の大東大を加えた4校にまでチャンスが広がっていた。 1区を牽引したのは前回この区間で区間3位と好走した山梨学大の橋ノ口滝一(4年)。序盤からハイペースで集団を引っ張ると、5km過ぎに集団から抜け出し、独走態勢を築いた。ところが、16km手前で2位集団から抜け出した日体大の鷲見知彦(1年)と駒大・太田貴之(3年)が橋ノ口を捕らえ、デッドヒートを制した鷲見が区間賞を獲得。6秒差で太田が区間2位、橋ノ口は1分31秒差の11位と出遅れた。 2区でも駒大と日体大の先頭争いが続いたが、9位でタスキをもらった東洋大の三行幸一(4年)が8人抜きの区間賞でトップへ浮上。駒大は2位をキープし、3位は日体大、大東大が4位と続いた。1区で11位と出遅れた山梨学大はオンベチェ・モカンバ(3年)の6人抜きで5位まで順位を上げた。 駒大は3区の佐藤慎悟(2年)が区間トップの走りで先頭を奪うと、4区の田中宏樹(3年)も区間賞。この時点で2位の日体大に2分51秒と大差をつける一方的な展開に。3区で8位に沈んだ東洋大は4区の永富和真(4年)で3位に再浮上。3区・下里和義(4年)の区間賞で10位から3位に上がった神奈川大も4区終了時で5位と好位置につけた。 山上りの5区でも駒大は先頭を譲らず、悠々と4年ぶりの往路優勝を達成。前回区間トップの東海大・中井祥太(2年)が快調な足取りで7位から2位に浮上した。しかし、それ以上の走りを見せたのが日本学連選抜の鐘ヶ江幸治(筑波大4)だった。オープン参加のため総合成績は反映されないものの、16位相当から9人を抜いて7位相当までジャンプアップ。区間2位の中井に33秒差をつける見事な区間賞だった。 亜細亜大は過去最高となる往路3位。優勝候補に挙げられていた日大と大東大はそれぞれ9位、16位と大きく出遅れた。 復路でも駒大の強さは際立ち、6区から10区まで5人全員が区間4位以内と好走。最後は10区の糟谷悟(2年)による区間賞で終止符を打ち、史上5校目となる総合3連覇を成し遂げた。 東海大は6区で3位に落としたものの、7区・小出徹、8区・影山淳一の4年生コンビによるダブル区間賞が光り、過去最高となる2位を確保。前回17位の亜細亜大は、9区・堀越勝太郎(4年)が区間2位に45秒差をつける区間トップの快走で初のトップ3を達成。法大が3年ぶり好成績となる4位に入り、往路で12位と苦戦した順大が大きく巻き返して5位に食い込んだ。 そのほか、往路13位だった中大は6区・野村俊輔(3年)が2年連続区間賞の快走で5人抜き。以降はシード圏内をキープして7位でフィニッシュした。優勝候補の一角に挙げられた日大は復路でも苦戦し、シード権ギリギリの10位で終えた。オープン参加の日本学連選抜は往路7位相当から復路でも安定したタスキリレーを見せ、5位の順大とわずか5秒差の6位相当と健闘した。 大会MVPにあたる初代・金栗四三杯は5区で区間賞を獲得した鐘ヶ江が受賞。なお、区間新記録が生まれなかったのは1989年以来15年ぶりだった。 参考文献:箱根駅伝90回記念誌(関東学生連盟)
月陸編集部