恐竜学部カリキュラム概要…1年から化石発掘調査など現場実習を重視 福井県立大学が発表
福井県立大学は1月9日、今年4月に開設する恐竜学部のカリキュラム概要などを発表した。県立恐竜博物館(勝山市)と連携して1年次から化石発掘調査をはじめとする現場実習を重視し、同館に研究成果の発信拠点「オープンラボ」を整備する。世界的研究者を客員教授に委嘱するほか、海外でも実習を展開するなど国際的な視野も養う。 恐竜学部は恐竜・地質学科の1学科体制で定員30人。1年次は永平寺キャンパスで一般教養科目を受講。2年次から、同館隣接地に設ける勝山キャンパスの学部棟に移る。3年次に恐竜・古生物コースと地質・古環境コースに分かれる。 開設時の教員数は、現在の県立大恐竜学研究所の教員を中心に客員教授を除き14人とし、26年度までに20人体制に拡充する。うち19人は同館の研究者を兼務予定で、同館の発掘調査や展示作業に学生が参加するほか、オープンラボで授業も行うなど一体的な教育・研究システムを目指す。 発掘調査の実習は、新種の恐竜化石が見つかっている勝山市北谷町杉山をはじめ、3年次に海外でも予定。現時点ではタイで計画しており、将来的に北米も検討する。全長1メートルを超える化石の解析が可能な大型コンピューター断層撮影(CT)装置を導入し、デジタル技術の活用などの学習にも力を入れる。 客員教授にはカナダ・アルバータ大フィリップ・J・カリー教授ら5人を委嘱。カリー氏は2000年から同館の客員研究員を務め、元館長の東洋一氏との共著で勝山市で化石が見つかった肉食恐竜「フクイラプトル」を新種とする論文を発表した。客員教授によるオンライン講義などで語学力やコミュニケーション能力の向上を図る。 学部長就任予定の西弘嗣・県立大恐竜学研究所長と、学科長就任予定の神谷隆宏・同研究所教授が県庁で会見した。西所長は「福井県の恐竜研究を進展していけるような学部にしていきたい」と述べた。学芸員や研究者だけでなく、地質調査など汎用性の高い教育で幅広い分野の人材育成を目指すと強調。「災害が頻発する中で、自然科学の知識を持って現場で対応できる人材などを輩出したい」と意欲を示した。
福井新聞社