バイデン氏、トランプ氏政敵に勲章 政権交代後の政治的捜査けん制か
バイデン米大統領(民主党)は2日、トランプ次期大統領(共和党)の政敵であるリズ・チェイニー元連邦下院議員に大統領市民勲章を授与すると発表した。チェイニー氏は共和党の反トランプ派の筆頭格で、今月20日の政権交代後に政治的捜査を受ける恐れが指摘されており、勲章授与にはこうした動きをけん制したい思惑もあるとみられる。 市民勲章は文民最高位の自由勲章に次ぐ。バイデン氏は、2021年のトランプ氏の支持者らによる連邦議会襲撃事件を調査した下院特別委員会のトンプソン委員長(民主党)と副委員長だったチェイニー氏を含む計20人に勲章を授与すると決めた。 チェイニー氏に関しては「下院議員を含めて20年間にわたって公職にあり、党派を超えて、自由や尊厳、良識といった米国の理想を守るために声を上げてきた」と評価した。 チェイニー氏は、ブッシュ(子)政権で副大統領を務めたディック・チェイニー氏の長女。20年大統領選の敗北を受け入れないトランプ氏を批判し、反対派に転じた。24年の大統領選では民主党のハリス副大統領を支援した。 バイデン氏は、第二次大戦中の日系米国人の強制収容に抗議し、訴訟を通じて自身を含めた収容者の解放に取り組んだミツエ・エンドウ氏(06年死去)にも市民勲章を追贈した。【ワシントン秋山信一】