【中山記念】大幅馬体増で勝ったドゥラメンテ、横山典弘騎手が最多5勝 中山名物GⅡの「記録」を振り返る
中山記念5勝をあげる横山典弘騎手
ヒシイグアスのほかにも、ローエングリン、バランスオブゲーム、カンパニー、ウインブライトと、中山記念で2勝をあげた馬は多い。ウインブライトの2勝目となった2019年の上がり3Fは33.7で、歴代勝ち馬における上がり3F最速でもある(最も遅い上がり3Fで勝利をあげたのは、1998年のサイレンススズカで38.9)。 リピーターの多いレースではあるため3勝目に近づく馬はいるが、実際に3勝をあげた馬はまだいない、というのも中山記念の特徴だ。カンパニーは本格化前に2、4着があるものの、勝利をあげたのは現役ラスト2年の7、8歳シーズン。ローエングリンも4歳で勝利し翌年も3着と好走したが、それ以降、中山記念2勝目となる8歳シーズンまで出走がなかった。どちらも現役期間を伸ばしたり出走する年を増やしていれば……と感じてしまうような戦績ではある。果たしてヒシイグアスは、待望の中山記念3勝目にどこまで迫れるだろうか。 一方、3勝以上をあげている騎手は多い。M.デムーロ騎手と後藤浩輝騎手は3勝、柴田善臣騎手が4勝。そして横山典弘騎手が5勝で、これが最多だ。 横山典騎手にとって初の中山記念勝ち星は1996年サクラローレル。同馬は約13ヶ月ぶりの実戦ということもあり9番人気と低評価だったものの、レースでは上がり最速の末脚を繰り出してジェニュインらを差し切った。コンビ結成の初戦で結果を出した横山典騎手はその後もサクラローレルに騎乗。同年の天皇賞(春)と有馬記念などを制した。 横山典騎手の中山記念2、3勝目はどちらもカンパニーであげた。これに続く勝ち星となったのは、2014年ジャスタウェイとの勝利であった。次走でドバイDFを制覇し世界的な名馬となったジャスタウェイの充実ぶりを見せつける勝利と言える。そして5勝目は、2020年のダノンキングリー。ラッキーライラックやソウルスターリングといった強力な牝馬が出走していたが、明け4歳初戦となったダノンキングリーをしっかりと導いた。 実績を持つ馬や騎手が今年も結果を出すのか、それとも若き4歳世代が台頭するのか。今年の中距離戦線を占う一戦に注目したい。 ライタープロフィール 緒方きしん 競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。
緒方きしん