エンディング数は脅威の“1万7000”、コンプリートに必要な時間は200年!? 遊びつくすのに「人生が足りない」超大作&高評価RPG『バルダーズ・ゲート3』の魅力を語りたい
人生が足りない──。 人の一生は、『バルダーズ・ゲート3』を遊び尽くすには儚すぎる。 【この記事に関連するほかの画像を見る】 メタスコアは今年トップクラスの96点、「Golden Joystick Awards」ではゲーム・オブ・ザ・イヤー(以下、GOTY)をふくむ5部門を制覇、迫る年末の特大イベント「The Game Awards」でもGOTYの有力候補と囁かれる2023年を代表する一作……それが『バルダーズ・ゲート3』だ。 「人生が足りない」その第一の理由は、本作の圧倒的なボリュームだ。 本作のエンディングは“1万7000パターン”存在し、イベントシーンは脅威の174時間。1周をクリアするまでのプレイ時間は「100~120時間はかかる」と公式インタビューでも明かされており、これらを単純に計算すると……全パターンの確認には200年近くかかる計算になる。 さて、こんなヤバいゲームである『バルダーズ・ゲート3』だが、ついに12月21日には日本語に対応したPS5版がスパイク・チュンソフトから発売されることが決定している。 あわせて同時期にPC版にも日本語が実装されるらしいので……流れは来ている。これはもう、今のうちにオススメしておくしかないだろう! というわけで、本稿では早期アクセス段階から本作を遊んできた筆者が『バルダーズ・ゲート3』の魅力を語っていく。ストーリーの根幹に関わる部分には言及しないため、「ちょっと興味がある」という方にもぜひご一読いただきたい。 文/TsushimaHiro ■あらゆる選択が物語を動かす。本当に「自分だけの旅」が楽しめるRPG 冒頭で1万7000パターンのエンディングがあると紹介したが、本作はそこに至るまでの経緯も実に多彩だ。プレイヤーは冒険の道中でさまざまなNPCと出会うことになるが、その度に多様な選択や決断を委ねられる。 例えば、主人公らが高い確率で最初に立ち寄ることになる移民の村の住民は、“ドルイド”と呼ばれる集団と言い争っている。そのドルイドはというと、ゴブリンに仲間を囚われており困っている。そして困りごとの原因であるゴブリンの集団は、村を襲撃しようと画策している……。 この三つ巴の状況に対し、主人公はドルイドに協力してゴブリンのキャンプからドルイドを救出するか、ゴブリンの計画を移民たちに知らせて備えるか、あるいはゴブリンに協力して村を襲撃するといった過激な選択をとることもできる。そして、どれを選んでも選択に応じて細かにストーリーが分岐していく。 主人公の大きな目的は、マインド・フレイヤーと呼ばれる種族に埋め込まれた幼生を身体から取り除くこと。 この目的に向かって一番近いと思われる道を進むか、あるいは自分の目的を犠牲にしてでも出会った他人を助けるか、それとも目の前の利益に飛びつくか……どれも立派な遊び方だし、どんな選択をしてもそれに応じたストーリーが紡がれていく。 これが『バルダーズ・ゲート3』の圧倒的なボリュームと自由度の正体だ。プレイヤーがどんな選択をしても物語は進むし、そしてその選択には必ず意味が生まれてくる。 さらに問題を解決する方法は戦うだけでなく、出会ったNPCを説得したり、賄賂を渡して買収したり、脅して言うことを聞かせたり……とさまざま。 自身の行うアクションに対して「ダイスロール」で成否が判定される場面もあり、ここは非常にアナログゲームチックなポイントのひとつと言えるだろう。 ■冒険感が増す要素、野営地 そして仲間とともに旅をしていく中で欠かせないのが「野営地」の存在だ。何とも“冒険っぽさ”を盛り上げてくれるシステムだが、野営地は単なる回復や補給の場ではなく、仲間との会話イベントも発生する場所となっている。 特定のキャラクターとは恋愛関係になれたり、逆に仲間同士で争いになってしまったりと多彩なイベントが用意されており、選択肢によっては仲間を主人公自身の手で殺してしまうようなシーンさえある。その物語展開もまた、プレイヤーの選択の積み重ねの結果なのだ。 本作のメインストーリーは全3章に分かれており、広大なフィールドがいくつも用意されている。そして第2章では選択によって行きつくフィールドさえも変わる。本当の意味で「自分だけの旅」ができるゲーム、それこそが『バルダーズ・ゲート3』の魅力だと思う。 ■環境利用がカギになる戦闘は戦略性バツグン このように大ボリュームかつ圧倒的な自由度を誇るストーリーが『バルダーズ・ゲート3』の最大の魅力と言える部分だが、戦略性豊かなバトルも決して見過ごせない。 戦闘はキャラクターごとにターン制となっており、じっくりと考えてプレイすることができる。各キャラクターは行動力にあたるAP(アクションポイント)と、ボーナスアクションポイントを消費して攻撃やスキルを発動し、呪文や魔法を扱うために呪文スロットを消費する。 呪文はレベル1から6まで存在しており、初級の魔法は呪文スロットを消費せずに使用できるものがあるが、以降は限りあるスロットを消費して発動することになる。スロットを回復するためには野営地で休憩する必要がある……この仕組みもまたファンタジー世界の“冒険っぽさ”を高める要素のひとつと言えるだろう。 また、本作の選択肢の多さは戦闘にまで及んでおり、天井にぶら下がっている石塊を敵に落としたり、高所の敵を奈落の底へ突き落として一撃で倒すといったフィールドを利用した戦略が多彩に用意されている。水たまりに雷撃を放ち感電エリアに変えたり、油溜まりに火を放って爆発させたり……と、多種多様な戦法を駆使して賢く立ち回ろう。 今さらの紹介となってしまって恐縮だが、本作を手がけるのは『ディヴィニティ:オリジナル・シン』シリーズで知られるLarian Studios。戦闘システムについても『ディヴィニティ』を思い起こす部分は多く、同シリーズを楽しんだ方はちょっと懐かしく嬉しい気持ちになること間違いなしだ。 ■TRPG風のキャラメイクが自由すぎる プレイヤーはあらかじめ用意された7名のオリジンキャラクターのほか、自分で種族や見た目、クラスや出自などを変更して遊べるカスタムキャラクターのいずれかを選択。また、12月6日に公式Xアカウントにて発表された内容によると、94%のユーザーがカスタムキャラクターを作成してプレイしていることが判明している。 なお、ここに表示されているオリジンキャラクターには固有のストーリーが用意されているが、作中で味方になることもあり、そのストーリーも体験できるので無理に選ぶ必要はない。「オリジナルのキャラで遊びたい!」と感じたなら、その想いに従っておこう。 カスタムを選択した場合は、大きく分けて種族、見た目、クラス、出自、習得するスキル……など非常に幅広い項目を設定して自キャラを作り上げる。種族は人間、エルフ、ドワーフ、ハーフオークなど11種類が用意されており、まさにファンタジーの住人になりきって楽しめるというもの。 その後、種族ごとに異なる数が用意された顔の形、声質、髪型、体型、メイクなどを編集し、ある程度は見た目を編集することができる。上記の画像は美人な女性を作ろうと思い、試しに某オープンワールドゲームの怪物狩り見習いを再現して作成したものだ。 クラスは近接に特化したものや魔法職などさまざまな種類が存在しており、雄たけびをあげて獣の構えで戦場を蹂躙するバーバリアン、宝箱の開錠や罠の解除が得意なローグ、歌や音楽で味方を鼓舞するバードなど全12種類から選択する。 主人公の出自は英雄、ならず者、芸人、職人、傭兵、スラム街の住人など合計11種類から選択できる。ここで選択した出自によって、本編での会話が変化したり、ステータスにも変化が現れる。 なお、一番人気なクラスは攻守万能で説得シーンでも活躍できるパラディン。種族は、容姿端麗なキャラクターが作成しやすいエルフが人気のようだ。なお、これらのクラスはゲームを進めてとあるNPCと知り合うと対価を支払うことで変更したり、レベルをリセットしてスキルポイントを振りなおすことも可能となっている。 このように非常に多岐にわたる選択肢が用意されているため、組み合わせれば「英雄的な活躍をしてきたオークの吟遊詩人」「職人ドワーフの戦士」「スラム街で育った盗賊のハーフエルフ」といった多様なキャラクターを作成できる。ここで自分好みのキャラクターを作成して、大冒険に出かけよう。 キャラクターメイクができるゲームというのは今では珍しくないが、何度も語っているように『バルダーズ・ゲート3』の醍醐味はプレイヤー自身の選択によって移り変わっていく物語にある。丹精込めたキャラメイクで「自分だけの主人公」を生み、その物語をとことんロールプレイするようなTRPG的な遊び方も素晴らしいものになるはずだ。 圧倒的な自由度、圧倒的なボリュームのシナリオを誇る『バルダーズ・ゲート3』。実は本作はマルチプレイ(オンライン時:4人、オフライン時:2人)にも対応しているので、TRPGのセッションを楽しむような感覚でフレンドと冒険へ出かけられる。 難しいルールブックもデータ管理も必要なく、すべてゲーム側が勝手に処理してくれるお手軽さが非常にありがたい。 こまめに分岐するシナリオを家族や友人と一緒に相談しながら進めれば、お互いがどんな選択をするのかも会話のネタになるはず。長い時間をかけてゲームをクリアした後は、きっと本当に一緒に大冒険をしたかのような感覚に浸ることができるだろう。 余談だが、筆者が友人らと共に4人でマルチプレイした結果、移民の村人をドルイドごと全員虐殺して全てを奪い去り、ゴブリンも一匹も残さず殲滅するというジェノサイドルートを拝むことができた。想像してみてほしい。モンクのハーフオークが波動拳を放ち、ゴブリンをナムアミダブツする様を。 おそらく、筆者が一人でプレイしていたらここまでの怒涛の展開を見ることはなかった。ひとりで自分の思う道を進むのももちろん楽しいが、多人数でプレイすることで味わえる唯一無二な体験もあるはずだ。 『バルダーズ・ゲート3』はPC版(Steam、GOG.com)とPlayStation5版が海外で発売中。12月21日に日本語に対応したPS5版が発売予定で、同時期にPC版にも日本語が適用されると告知されている。なお、Xbox Series X|S版は12月に発売予定となっている。(Xbox版は12月8日よりストアページが公開されました) 今年の年末は、『バルダーズ・ゲート3』で年越ししよう!!!
電ファミニコゲーマー:
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