創業100周年の過大目標達成へ、老舗上場企業が陥った罠
四季報オンライン
「市場の番人」――。日夜株式市場を監視し、相場操縦やインサイダー取引などの不公正な取引を調査する証券取引等監視委員会(監視委)は、畏怖を込めてそう呼ばれている。ひとたび不公正な取引を発見すれば、金融庁に対して課徴金の納付命令を勧告や、検察に刑事告発を行うこともある。投資家を守り、市場機能の健全化を促すという目的のため、その絶大な権力を適切に行使しているか、監視委はその真価を常に問われる立場でもある。そんな市場の番人が今回処分に踏み切ったのは、どのような案件か。(本連載は不定期で掲載します)「不適正な開示を行った背景には、創業100周年の節目に向けて掲げていた『売上100億円』という目標のプレッシャーがあった」――。証券取引等監視委員会の担当者は、一連の事案の背景をこう分析した。 監視委は5月19日、循環取引を通じた売り上げの過大計上による虚偽開示が認められたとして、東京衡機(7719)に対し課徴金1200万円の納付命令を発出するよう金融庁に勧告。監視委によると、東京衡機は2021年2月期から2022年2月期までの2期にわたり、合計約77億円分の売り上げを過大計上していた。 1923年創業の老舗企業で、一体何があったのか。
本文:2,058文字
購入後に全文お読みいただけます。
すでに購入済みの方はログインしてください。
川辺 和将