ヤクルトD4位・鈴木叶、球団70年ぶり高卒新人スタメンマスク プロ初出場初安打がV打、リードでも重量ソフトB打線斬り
(日本生命セ・パ交流戦、ソフトバンク3-9ヤクルト、2回戦、1勝1敗、12日、みずほペイペイ)燕に新星現る!! ヤクルトは12日、「日本生命セ・パ交流戦」のソフトバンク2回戦(みずほペイペイ)に逆転勝利した。前日11日にプロ初昇格を果たしたドラフト4位・鈴木叶捕手(18)=常葉大菊川高=が「8番・捕手」で先発マスクをかぶってプロ初出場。球団の高卒新人捕手の先発出場は70年ぶり2人目。打っては1―1の四回2死満塁で決勝の左前2点打を含む2安打2打点。守っては今季初登板の山野太一投手(25)を好リードして今季初勝利に導いた。 屈託のない笑顔が、18歳の喜びを表していた。新人のD4位・鈴木がプロ初出場で先発マスクをかぶり、2安打2打点の鮮烈デビュー。ヒーローインタビューでは声を震わせながら、「すごくうろしい…、うれしいです」といきなりかんで初々しさを見せた。 異例の抜擢(ばってき)だ。球場に着いてからスタメンを言い渡されると「ビックリした。全力プレーをすること、できることをやろうと思っていた」と覚悟を決めた。ヤクルトの高卒新人捕手の先発出場は1954年の阿井利治以来70年ぶり2人目。18歳2カ月での初先発出場はセ・リーグの捕手では、62年の大洋・松原誠の18歳3カ月を抜く最年少記録となった。 マスクをかぶった姿は、18歳とは思えないほど落ち着いていた。2軍でバッテリーを組んできた山野を好リード。7回1失点で今季初勝利に導き「ファームでしつこく衣川コーチに教えてもらったことを生かせた」と感謝した。 打っては、1―1の四回2死満塁で決勝の左前2点打。「点が入ったことが一番うれしかった」とプロ初安打と初打点に表情を緩ませた。さらに七回2死では左前打。攻守で躍動した。 二塁送球1・8秒台の強肩と高校通算21本塁打のパンチ力を買われ、将来の正捕手候補として入団。2006年の第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本が世界一となった3月21日(米国時間20日)に生まれたことで、両親は侍ジャパンが念願を果たしたように「自分の夢も叶(かな)えてほしい」という思いを込めて「叶(きょう)」と名付けた。 正捕手の中村が上半身を痛めて前日11日に出場選手登録を外れ、ファームで出場できる捕手が橋本のみという危機的状況。11日にプロ初昇格を果たし活躍した新星に高津監督は「意外と落ち着いて見えたというか、山野といいコンビが組めたのかなと。本当に期待と夢と希望と、詰まった選手だと思いますよ」と目を細めた。
交流戦は4位だが、まだ逆転優勝の可能性は残る。チームには新しい風が吹いた。再び上昇気流に乗り、チーム全員の夢を叶える。(赤尾裕希)