600ミリ角型シリコン基板 次世代半導体パッケージ対応 三菱マテリアル開発
三菱マテリアルは21日、世界最大級の600ミリメートル角の四角形状シリコン基板「角型シリコン基板」を開発したと発表した。複数の半導体チップを1つのパッケージに収める次世代技術「チップレット」への対応を目指したもので、「半導体分野の生産性向上に貢献する」(同社)とする。 【関連写真】角型シリコン基板(510×515×0.8㎜)と300㎜ウエハーのサイズ比較 半導体パッケージでは、ウエハー基板上で最終工程まで処理する「WLP(ウエハーレベルパッケージ)」技術の活用が進んでいる。半面、円形状の直径300ミリメートルウエハーなどを利用するため、効率よくウエハー基板にパッケージを収められないことが課題となっていた。 同社は、この課題を解決するため、グループで培ってきた大型シリコンインゴットの鋳造技術と、独自の加工技術を組み合わせた「角型シリコン基板」を開発。クラウドサービスやAI(人工知能)の普及でサーバー用CPUやGPUが高性能化する中、増加するチップレットパッケージへの対応を狙う。 チップレットパッケージは、100ミリメートル角程度まで大型化が進んでいる。効率よくパッケージを収めるために、四角形状でさらに大型化することがキャリア基板に求められていた。 ただ、単結晶のシリコン材料から大型基板を作ることは技術的に困難。そのため、キャリア基板に大型のガラスパネルなどを利用した「PLP(パネルレベルパッケージ)」技術が開発されているが、剛性や熱伝導率が低く、銅と樹脂からなる再配線層(RDL)形成の加熱工程で熱収縮などが課題となっていた。 開発した「角型シリコン基板」をPLPのキャリア基板として用いた場合、その特徴である高剛性、高熱伝導により、課題であったRDL形成工程の反りも改善できることを確認している。
電波新聞社 報道本部