根室で貝殻島コンブ漁始まる 例年より2週間遅れ出漁
北海道の根室市で北方領土・貝殻島周辺コンブ漁が15日始まった。長く居座った流氷が大量に太平洋側に流れ出た影響などから例年より2週間遅れの出漁となった。出漁隻数は195隻(前年比9隻減)と同漁としては初めて200隻を切る形となり、漁業者は「質は良いが、量がない」と初日の漁模様を振り返っていた。 1963年から日ロの民間交渉に基づいて行われており、例年は6月1日に解禁となる漁。途中4年間の中断があったため今年で58回目。納沙布名物の霧で貝殻島灯台がかすむ午前6時、サイレンと管理組合の小倉啓一歯舞漁協組合長らの旗振りを合図に一斉に出漁。水上の``F1、、とも表される出漁風景が見られた。 約4時間の漁を終えた漁業者の表情は一様にさえない。北方領土歯舞群島の水晶島時代から3代目のコンブ漁師本田敏己さん(70)は「コンブの生育が極端で若いのは小さく、大きいのもあるが量が少なく、こんな不漁は記憶にない。ただコンブの質自体は良い」と話し、高海水温と流氷の影響だと嘆いた。 「昨年の半分以下」と話すのは元歯舞昆布漁業部会長の志和昭則さん(70)。初日の漁模様に「(20年以上になる)息子と一緒にやり始めてから初めてだ」と述べ、流氷の影響から「前浜(夏コンブ漁)も心配だ」と話した。 貝殻島コンブはナガコンブの初期の段階で、柔らかく質が良い「サオマエコンブ」として流通している。 日ロ間民間交渉は5月17日夜に妥結。今年の操業条件は採取量3360㌧(前年比91㌧減)、ロシア側へ支払う採取権料は8037万円(同217万円減)、機材供与費350万円(同額)、漁期は9月30日まで。 ○…この日、納沙布岬突端にラッコが姿を現した。エンジン音をうならせる小型船の喧(けん)噪(そう)をよそに海面をクルクルと、まるで出漁を祝うかのような舞い踊りを披露していた。
釧路新聞