【阪神】支配下返り咲きを目指す佐藤蓮、覚醒予感させる156キロのムービングファストボール
<ニッカンスポーツ・コム/プロ野球番記者コラム> 自慢の剛球に、とてつもない“クセ”がついてきた。 【イラスト】佐藤蓮の選手名鑑 大化けの可能性も 阪神育成の佐藤蓮投手(26)が、ウエスタン・リーグで無失点投球を続けている。4月27日のソフトバンク戦から12試合連続無失点。2カ月弱の間、点を取られていない。 身長188センチから投げ込むパワーピッチャー。佐藤輝、伊藤将、村上、中野、石井らを獲得した20年ドラフトで、3位指名され入団した。底知れぬポテンシャルを買われていたが、制球が課題で22年オフから育成契約となっている。 そのコントロールに、今は少しずつ自信が生まれている。 「僕はストライクゾーンの四隅を狙うタイプじゃない。ゾーンでどんどん勝負して、ファウルをとっていく。それが徐々にできてきています。ある程度、ゾーンに投げられる安心感もあります」 ショートアーム気味にしたフォームが定着してきたことが、要因の1つ。さらに、直球が特殊な軌道を描くことも佐藤蓮の背中を押している。 「僕の場合、直球がカットしたりシュートしたりするんです。投げてみないと、どっちにいくか分からない」 これが武器になった。ど真ん中を目がけて投げ込めば、ボールは相手打者のバットの芯からズレるように微妙に動くという。1軍が遠征中の残留練習でキャッチボール相手を務めた村上も「ムービングファストボールやん。捕るのが怖い」と恐怖した、動く直球だ。 「1軍と同じような投球スタイルで上にいけるとは思わないので。だったら僕だけのボールを作った方が魅力があると思う」と、とことん突き詰めるつもりだ。「試合でストライクが入れば、自信にもなる。ある程度、ストライクがいくなって分かったら思い切って腕振ることもできます」。今は好循環に入っていると実感する。 6月12日のウエスタン・リーグ、オリックス戦(鳴尾浜)では156キロをマークした。8回に登板。簡単に2死を取ると、茶野に対しての初球で記録。球場表示は155キロだったが、球場に設置されているトラックマンでは156キロが計測されていた。 「この真っすぐと、僕の場合はカーブに自信がある。中継ぎなので、何度も試合中に同じ打者と対戦するわけじゃないですし、絶対的なボールで抑え込んでいきたい」 支配下登録期限は7月31日。一芸に魂、を込め、支配下返り咲きを目指して腕を振る。【阪神担当 中野椋】