【あす20年ぶり“新紙幣”発行】肖像の3人はどんな人? 新一万円札の渋沢栄一には千円札で“落選”の過去も 進化する偽造防止技術 3Dホログラム導入は世界初
20年ぶりとなる新しい紙幣の発行が、いよいよあす3日から始まります。偽造防止の最新技術やユニバーサルデザインが採用されるなど、さまざまな工夫がこらされています。
新紙幣の3人はどんな人?
新紙幣の肖像画に選ばれた3人がどんな人物なのか、みなさんはご存知ですか。 新一万円の顔となる渋沢栄一は、“日本資本主義の父”とされる実業家です。三井物産や東京電力、現みずほ銀行など、生涯で約500もの企業設立に関わりました。 新5千円札の津田梅子は、“女子高等教育の先駆者”とされる教育家です。2度のアメリカ留学を経て、1900年に女子英学塾(現在の津田塾大学)を創立しました。 千円札の北里柴三郎は、“近代日本医学の父”とされる細菌学者です。血清治療の確立やペスト菌の発見など、伝染病予防や細菌学の発展に大きく貢献した人物です。
渋沢栄一には“落選”の過去
新一万円札の渋沢栄一ですが、実は過去にもお札の候補になったことがあります。1963年、当時の新千円札の肖像画の選定では、伊藤博文と渋沢栄一が最終候補となり、渋沢栄一が落選しました。 偽造通貨対策研究所の遠藤智彦所長によると、偽造防止の観点からヒゲやシワ、目などの特徴のある容貌がふさわしいとされていたようです。現在では技術革新により、“シンプルな容貌”でも問題なくなったといいます。
偽造防止への新技術
今回の新紙幣で採用されている、新しい偽造防止技術は2つあります。 1つ目は、お札を光にかざすと肖像などが浮かび上がる「すかし」です。 今までの「すかし」は肖像のみでしたが、新紙幣では肖像の周囲に小さな菱形の模様が浮かび上がるようになっています。 新しい偽造防止技術の2つ目は「3Dホログラム」です。見る角度によって顔の角度の変わる肖像で、 この技術が紙幣に導入されたのは世界初となります。
他にも、新紙幣には「ユニバーサルデザイン」が取り入れられています。誰にでもお札の種類が分かりやすいよう、漢字の「壱万円」という表記から数字の「10000円」という表記になります。 一方でキャッシュレス化が進む今、なぜ新紙幣を発行することになったのでしょうか。 遠藤所長によると、原版を造る工芸官が技術継承するためには約20年に1度の改刷が必要だということです。 ちなみにドル・ユーロ・ポンドは7~10年で改刷しなければ、紙幣が偽造されてしまうといいます。 その点、日本は20年もの間、偽造の追随を許しておらず、高技術の証しであると遠藤所長は話します。 (『newsおかえり』2024年7月2日放送分より)