異例のアメリカ大統領選挙 多くの裁判を抱え選挙に臨むトランプ氏――今日は“何の”裁判?
●【刑事裁判(1)】不倫口止め料支払いで業務記録改ざん
2016年の大統領選の前に過去の不倫関係を主張するポルノ女優に支払った口止め料13万ドルについて、隠ぺいするために業務記録を改ざんした罪に問われている。 初公判はニューヨーク州の裁判所で、3月25日に開かれる。
●【刑事裁判(2)】機密文書を持ち出し
2021年に大統領を退任した際、アメリカの核計画に関する情報などが含まれる機密文書を、ホワイトハウスからフロリダ州の自宅に持ち出し不正に保管していたとして、スパイ防止法違反や司法妨害などの罪に問われている。 初公判はフロリダ州の裁判所で、5月20日に開かれる予定。
●【刑事裁判(3)】大統領選の結果を覆そうと手続きを妨害
2020年の大統領選挙の結果を不正に覆そうとし、議会の手続きを妨害した罪などに問われている。検察はトランプ氏が「大統領選で敗北したにもかかわらず、権力の座にとどまろうと決断した」「陰謀の目的は選挙結果の集計と承認をする政府の役割を妨害し、大統領選の正当な結果を覆すことだった」などと指摘している。 初公判はワシントンの裁判所で、3月4日に開かれる予定だったが、延期された。
●【刑事裁判(4)】ジョージア州選挙介入
2020年の大統領選挙の際、ジョージア州の選挙結果を覆そうと州政府に圧力をかけたとして、組織犯罪を規制する州法に違反する罪などに問われている。トランプ氏をはじめ、顧問弁護士だったジュリアーニ元ニューヨーク市長ら計19人が起訴された。 トランプ氏が拘置所に出頭した際には、逮捕時に撮影される「マグショット」と呼ばれる顔写真を、大統領経験者として初めて撮影された。
■民事裁判が“経済的脅威に…”
トランプ氏は民事裁判も抱えている。ニューヨークタイムズは「民事裁判で相次いで賠償命令が出れば、トランプ氏は、ここ数十年で経験したことのないような経済的脅威を味わうことになる」と指摘している。
●【民事裁判(1)】女性作家への名誉毀損 125億円賠償命令
トランプ氏が女性作家のジーン・キャロル氏への性的暴行を否定し名誉を傷つけたとして訴えられていた裁判で、ニューヨークの裁判所は1月26日、トランプ氏に8330万ドル(約125億円)の支払いを命じた。 トランプ氏は上訴する方針を示している。キャロル氏は1990年代にトランプ氏から性的暴行を受けたと証言。2023年5月には、合意なしに体を触った「性的虐待」と名誉毀損が認められ、トランプ氏に約7億5000万円の支払いを命じる評決が出ていた。
●【民事裁判(2)】555億円返還要求
トランプ氏ら一族が経営する「トランプ・オーガニゼーション」をめぐり、ニューヨーク州の司法長官がトランプ氏と子ども3人を提訴し、不当に得た利益3億7000万ドル(約555億円)を返還することなどを求めている。 ニューヨーク州の裁判所は2023年9月、トランプ氏らが有利な融資を受けるために、保有する資産の価値を不正に水増ししていたと認定している。