「お前は基本がなってない」…覆された野球観 松坂世代監督が実践する“ミスOK”育成術
1本バッティングではあえて遅いボールで「成功体験が生まれる」
成功体験が生まれやすい練習メニューも取り入れている。「1本バッティング」では本番を想定した“生きたボール”ではなく、あえて球速の遅いボールを打つ。これは現役時代に社会人の強豪・ENEOSでプレーした経験を持つ鹿屋陸コーチの発案だという。 「試合形式の練習で投手が投げると、バントも決められないことがある。これでは、失敗できないプレッシャーで選手が萎縮してしまう。緩いボールならある程度、簡単にできます。強く引っ張っての長打や、進塁打なども成功しやすい。守備や走者も多くのプレーが生まれることで練習になります。成功体験が生まれる良い練習だなと思いました」 その他にも体成分分析装置「InBody(インボディ)」で筋肉量やバランスなどを数値管理。チームでプロテイン摂取の時間を作り、食品メーカーによる保護者向けの栄養講習会も行っている。猛練習だけでは“本当の上手さ”は手に入らない。感覚だけの指導ではなく、最先端の技術や理論を取り入れ時代に沿った育成を行い、チームを強化している。 星稜中出身の選手たちは高校、大学、社会人、プロ野球の世界でも活躍している。中学生の段階から高いポテンシャルを引き出す五田監督は今月21日からの「日本一の指導者サミット」に出演予定。普段の練習、大会での心構えなどを披露してくれる。
橋本健吾 / Kengo Hashimoto