長渕剛、7年ぶりオリジナルアルバム『BLOOD』引っ提げた全国アリーナツアー 大阪で初日公演「会いたかったよ、帰ってきたよ!!」
ミュージシャンの長渕剛(67)が25日、7年ぶりのオリジナルアルバム「BLOOD」を引っ提げた全国アリーナツアー(6都市11公演)の初日公演を大阪城ホールで行った。同作では社会風刺や幼き日の心象風景、仲間の死、新たな家族、変わらない仲間との絆などをロックやフォーク、レゲエといったさまざまなジャンルで表現している。この日は2024年一発目のライブ。待ちに待ったファン1万人との連帯感が、すさまじいエネルギーを生み出した。 大阪城ホールが眼下に見渡せる一室で初日を迎えた長渕。眼下では朝から会場の設営が始まり、フォークギターを手にした若者たちが集まって長渕の歌を歌い、その周りで一緒に歌う人だかり。「見渡す限り長渕剛にあふれている。それを感じながら、『よーし、お前たち待っててくれたんだなと。今日も一緒にやるぞ!』と毎回熱い気持ちになりますね」 午後7時すぎ。割れんばかりの「ツヨシ」コールに包まれながらアルバム収録曲「路上の片隅で」でオープニングを飾った。「返せよ 返せ! 俺の稼いだ銭を」。渦巻く政治不信への国民の怒りを代弁したこの楽曲に、ファンがこぶしを突き上げ日の丸をあしらったツアーグッズの小旗が揺れる。会場は瞬く間に熱気に包まれた。 「会いたかったよ大阪、帰ってきたよ‼」。満員の客席を見渡しながら、長渕は続けて「いろいろあったからな、この半年間。つらい思いをさせてごめんな」と謝罪した。ツアー開催発表後の5月には肺気胸を患って入院し、SNSの誹謗(ひぼう)中傷などがあった。「だけど(この客席を)見てみな。俺たちが作ってきた絆はそんなにたやすく切れるもんじゃない。今日集まってくれた仲間と、最高の初日を作ろう。それを日本国中にばらまいてやろう‼」と呼びかけた。 「スタッフ一丸となって客のうねりを感じる、客の心を感じる。最終的には胸を張ってこの時代に自己肯定できるような気持ちにさせてあげたい」。この思いのもと、長渕が特に演出面でこだわり抜くのが照明だ。自身のYouTubeチャンネルで22日にリハーサル風景を公開し、スタッフに向けて「ここに1万人のお客さんの感情が入るんですよ。その感情を感じないと単なる職人のアホだよ」などとゲキを飛ばす場面もあった。 「僕はステージに立っていつも思う。みんなのために生きているってことが本当に幸せ。たくさんの仲間たちに支えられて、もう45年来たよ。今日はでっかい声で一緒に歌おう!」 先行シングル曲「黒いマントと真っ赤なリンゴ」や懐かしの「SUPER STAR」「ひざまくら」、人気曲「Myself」など15曲以上を披露し、アンコールは「とんぼ」「乾杯」の大合唱で締めくくった。 この日も幅広い年齢層の男女が心を一つにしてこぶしを突き上げた。スタッフやバンドメンバーも含めたチームの連帯感こそが、長渕の血となり肉となる。
中日スポーツ