5時間半かけ到着…トレーラーハウス活躍 「息長く寄り添う」支援へ、届いたトイレに涙ぐむ被災者 能登半島地震
能登半島地震で被災地の道路が寸断され、迂回(うかい)路が渋滞する中、長野県社協は17日、被災者支援に当たる職員らの宿泊所としてトレーラーハウス2台を石川県能登町に設置した。2019年10月の台風19号災害でも被災者に仮設住宅などとしてトレーラーハウスを提供した長野市のトレーラーハウス製造「カンバーランド・ジャパン」が貸与。県社協は「高齢者ら地域から離れられない人を支える必要がある」とし、被災者に寄り添った長期的な支援を続けていく考えだ。 【写真】長野市から能登半島地震の被災地にけん引してきた2台のトレーラーハウス
17日昼ごろ、能登町の「のと海洋ふれあいセンター」駐車場。カンバーランド・ジャパンの山崎一さん(57)=須坂市=らが2台の設置作業を急いでいた。男性用と女性用で、広さはそれぞれ約20平方メートルあるという。
迂回路を選びながら長野市からけん引し、到着までに約5時間半かかったとし「道は少し良くなったが狭く、大型車で通るのには大変な部分がある。雪や凍結もあり、慎重に運んだ」と山崎さん。これまでに2回、被災者用のトレーラー型トイレなども能登町に届け、涙ながらに感謝されたといい「自分たちの仕事がある」と力を込めた。
県社協の職員は8日から能登町に入った。現在は民間宿泊施設で間借りしながら、車で1時間ほどかけて同町小木中学校に開設された避難所に通い、被災者の相談に応じるなどしている。ただ、トイレの介助が必要だったり、認知症が進行する恐れがあったりする高齢者も少なくなく、きめ細かい支援のためにも車で10分ほどの所に拠点を確保する必要があった。
高齢者らを対象にした福祉避難所が19日にも近くに開設される見通し。県社協は、福祉避難所に横付けできるキャンピングカーを無償提供してくれる業者らも募っている。県社協まちづくりボランティアセンターの長峰夏樹所長(56)は「福祉避難所は24時間態勢。今後を見据えると拠点の拡充は欠かせない」と話す。
カンバーランド・ジャパンの原田英世社長(64)は「被災者だけでなく支援者の苦労も並大抵ではない。支援者への支援も迅速に行う必要がある」としている。台風19号災害の時と同様に、被災者の仮設住宅としてのトレーラーハウスの提供に向けた調整も急いでいるという。 (鈴木悠太、竹越萌子)