【アイスホッケー】「アイスホッケーを続ける」ということ。
「まさか大学までやるとは」と裕一さん。 春からは、父と同じく審判員の道を歩む
桃さんが選んだスポーツで、最後まで続いたのがアイスホッケーだった。お父さんは言葉ではっきりと言わなかったが、おそらく「うれしかったはず」と桃さんはいう。 「先日の話ですが、お父さんが『まさか大学までやるとはな』と言っていたんです。その顔が、なんともいえない表情で(笑)。テニスをやっていた頃はそうでもなかったんですけど、ホッケーの話になると「新しいグローブにしたほうがいいんじゃない?」とか「スケート、新しいのが出たから買い替える?」と言ってくれて。ホッケーの道具って親にしてみたら高いはずなんですけど、やっぱり父親として、娘がアイスホッケーをやっていることが自慢だったのかなと思いました」 桃さんには4歳上のお姉さんがいる。そのお姉さんも、アイスホッケーがとても好きなのだそうだ。「私が得点決めると喜んでくれるし、今も家の中でスティックを使って一緒にホッケーごっこをしているんです。お姉ちゃんとは実際はプレーできないんですけど、私はお姉ちゃんのぶんも頑張る。一緒に戦っている気持ちで、これまでの11年間、アイスホッケーをやってきたんです」 今月の20日、東女体大は卒業式を迎えた。桃さんは4月から新社会人。入社する会社で仕事が軌道にのったら、新たなチームを探してアイスホッケーを続けるつもりだ。 そして、もうひとつ。お父さんと同じ審判員の道を、晴れて歩み始めるのだという。 「最初は小学校の大会からスタートすると思います。今までは、家の中であまりホッケーの話をしてこなかったんですが、これからはお父さんに質問をしまくるでしょうね」 この3月で、アイスホッケーを「卒業」する大学生、高校生。桃さんだけでなく、それぞれの家庭で、子どもが親に、そして親が子どもに対して「ありがとう」の言葉が聞かれたのだと思う。
山口真一