定率制で積立投資をしているのですが、収入が上がると積立額も上がって、なんだか損をしている気分になります。定率制のメリットはなんですか?
定額制と定率制の比較
図1は年齢ごと金額を示しています。22万円、25万円といった金額は給与額を示しています。(令和4年度賃金構造基本統計調査:中企業100~999人)
(1)は定額の2万円、(2)は給与の10%、(3)は(2)の半額となっています。 図2は、20歳から59歳まで40年間の累積積立額の推移です。預貯金額に近いものです。
(1)の定額2万円では40年間で960万円。一方、(2)の支給額10%の場合は1452万円となります。給与が上昇した場合に金額を見直すという手間はありますが、習慣化することでこれだけの差が生まれます。 図3は、(3)の積立額で試算したものです。
つまり支給額の10%の半額を預金に、残りの半額を投資信託等で年率3%の運用をした場合を想定しています。この場合は2022万円の資産となります。
まとめ
資産形成の成功の鍵は「習慣化」にあります。定額制・定率制いずれでも積立投資を習慣にすることで、長期的には資産の増加を実現できる可能性が高まります。習慣化により、資産形成は日常生活の一部となり、無理なく続けることができると良いでしょう。 特に定率制においては、一定の割合で積み立てることが自然と行われます。給与額の変化とともに積立額を計算することは、その時点での家計を確認することにもつながります。 資産形成は、預貯金だけではなく、その資金をいかに効率的に運用するかも重要な要素です。例えば、積立金を投資商品に投資することで、預貯金の利息よりも高いリターンを期待できます。 その効果は、期間が長いことでより大きなものとなる可能性があります。投資にはリスクが伴いますが、長期的な視点で分散投資を行うことでリスクを管理しつつ資産を増やしていくことができる可能性が高まります。 資産運用は、単なる貯蓄以上の戦略的な取り組みです。定額制でも定率制でも、継続することが大切です。重要なのは「始めること」「続けること」そして「賢く運用する」ことです。これらの習慣を身につけ、長期の資産形成をできるだけ早く始めることが、未来の大きな差となるかもしれません。 執筆者:鈴木一成 1959年生まれ。一成FP社会保険労務士事務所代表。 社会保険労務士、AFP、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCアドバイザー(DC協会)、企業年金管理士(企業年金連合会)、日本年金学会会員
ファイナンシャルフィールド編集部