９回、二盗を決めるソフトバンク・周東

　首位を快走するソフトバンクは19日の西武戦（みずほペイペイ）に2―1のサヨナラ勝ちを収め、最下位に苦しむ相手に同一カード3連勝を飾った。1点追う9回、柳田の右前適時打で同点に追いつくと、最後は近藤が右超えに劇的なサヨナラ打。4連勝を飾って貯金を今季最多の17に更新し、2位日本ハムとのゲーム差を6に広げた。 「怖いねぇ、怖いなぁ。ほっぺたをつねらないと」。王貞治球団会長（84）も連日の逆転劇に驚きを隠せなかった。中軸の勝負強さは特筆すべきだが、世界のホームラン王は試合を動かした韋駄天に光を当てた。「やっぱり周東が大きかったね。彼が出たら、投手が平常心で投げられないからね」。完封ペースだった獅子のドラ1左腕から、9回先頭で右前にクリーンヒットを放った周東佑京内野手（28）。相手に重圧をかけ、事が起きる予感を醸成してチームを鼓舞した韋駄天の一打を王会長は一番にたたえた。 　周東は出塁後、両リーグトップの16個目となる二盗を決め、柳田のタイムリーで生還。周東の一打が逆転劇のすべての始まりで、周東でなければこの展開は期待できなかった。「武内投手にやられっ放しで、個人的に打ちたかった。四球の期待できない投手。打って出るしかないと思っていた」。リードオフマンとしての風格が漂ってきた男の意地が、事を起こした。 　通算868本塁打、13年連続の本塁打王――。そんな世界のホームラン王もまた、背番号23が塁に出るたびに胸をときめかせている。