北方領土返還 早期解決訴え中央アピール行進
北方領土隣接地域振興対策根室管内市町連絡協議会(会長・石垣雅敏根室市長、略称・北隣協)は1日、東京都内で「北方領土返還要求中央アピール行進」を実施。元島民ら500人が日本の中心で、北方領土返還の決意と覚悟、熱い思いを発信した。 日比谷野外大音楽堂での出発式には、伊東良孝北方担当相はじめ英利アルフィヤ外務大臣政務官、鳩山二郎内閣府副大臣、地元の鈴木貴子、篠田奈保子両衆院議員、鈴木宗男参院議員、松浦宗信、中司哲雄両道議、根室市の姉妹都市富山県黒部市の武隈義一市長、高野早苗議長ら来賓22人が参加者を激励した。 主催者の石垣市長は「北方領土が不法に占拠されてから79年が経過。事態が長期化する中で北方領土問題が置き去りにされ、国民の関心が薄れていることを懸念している。本日のアピール行進、命を懸けて取り組んできた先達の思いを踏まえ、返還の志を高く掲げ、われわれの熱い思いを発信しよう」と訴えた。 元島民代表の古林貞夫さん(86)=国後島出身、根室市在住=は「近くて遠いふるさとが一日も早く返る日を望み、望郷の念かなわず他界した多くの墓前に吉報を届けるその日まで、無念の思いを希望に変え、早期解決に向け力強く行進する」と決意を表明した。 根室管内の元島民や首長、議員ら70人に加え、千島連盟の松本侑三理事長(83)=択捉島出身・札幌市在住=、在京ふるさと会ら、全国の返還運動関係者総勢500人が国民総意の証として47都道府県旗と根室管内1市4町の旗を掲げながら、日比谷公園から鍛冶橋交差点まで約1・6㌔を行進した。 今回初めて元島民4世が参加した。代表の根室高校3年近藤妃香さん(18)、同3年荒井琉菜さん(18)の2人が掲げる横断幕に続き、鈴木直道知事や石垣市長らが「北方領土を返せ!」「北方領土交渉を再開しよう!」「北方墓参を早期に再開しよう!」と拳を突き上げた。 行進を終えた元島民4世の近藤さんは曽祖母の西館トミエさん(87)=国後島出身、根室市在住=と共に参加し「一緒に歩けて良かった」と笑顔を見せ、曾祖父が択捉島、曽祖母が色丹島出身の荒井さんは「2人は昨年亡くなった。この活動を機に、『島に行けるようになれば良いね』と伝えたい」と振り返った。 この行進は「北方領土返還運動の父」といわれる安藤石典根室町長が終戦の年の暮れ、1945年12月1日に連合国マッカーサー元帥に北方領土返還の陳情書を出した``北方領土返還運動事始め、、に由来し、2007年度から実施しており今回が19回目になる。 2日には根室管内1市4町の首長、議長が、石破茂首相や岩屋毅外相、伊東北方担当相に北方領土問題の早期解決を求める政府要請を行う。
釧路新聞