「オバマ政権が盗聴」トランプ大統領が突然の“爆弾”ツイート
根拠のない主張はこれまでにも
トランプ大統領が根拠のない主張を行うのは今回が初めてではない。2015年11月にはABCニュースのインタビュー内で、「9.11同時多発テロが発生した際、(イスラム系住民が多いことで知られる)ニュージャージー州では多くのイスラム教徒が建物の屋上に集まって歓喜していた」と発言。トランプ氏はこの様子をテレビで見たと語ったが、少なくともニュージャージー州でそのような光景を捉えたニュース映像は存在しなかったことが判明している。加えて、オバマ大統領がアメリカ生まれではないという主張や、大統領選挙期間中には共和党内のライバル候補であったテッド・クルーズ氏の父親がケネディ大統領暗殺に関与していたという陰謀論まで口にしたが、それらを証明するものがトランプ氏から具体的に出された例はない。 仮にオバマ政権が正式な手続きを行わないでトランプ氏の盗聴を行っていたことが立証された場合、ウォーターゲート事件級のスキャンダルになるのは必至だ。CNNなど複数の米メディアは5日、政権高官らの話として、トランプ大統領のオバマ非難ツイートが発信されてから間もなくして、FBIが司法省に対してトランプ氏のツイートの内容は誤りであるという声明を発表するように週末に要請したものの、却下されていたと報じた。新旧政権だけではなく、司法省とFBIの間にも対立が存在していることが垣間見えるが、トランプ氏による突然の「つぶやき」はどのような結末を迎えるのだろうか。
------------------------------ ■仲野博文(なかの・ひろふみ) ジャーナリスト。1975年生まれ。アメリカの大学院でジャーナリズムを学んでいた2001年に同時多発テロを経験し、卒業後そのまま現地で報道の仕事に就く。10年近い海外滞在経験を活かして、欧米を中心とする海外ニュースの取材や解説を行う。ウェブサイト