太陽光パネルは建築基準法の適用外!?「普及優先で安全基準は後回しできた」石川和男が指摘
政策アナリストの石川和男が8月31日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送Podcast番組「石川和男のポリシーリテラシー」に出演。普及が進む太陽光発電の設置基準や安全性について専門家と議論した。
いま日本をはじめ世界では、2050年カーボンニュートラルやSDGs持続可能な社会の実現のため、再生可能エネルギーに注目が集まっている。なかでも主役となっているのが太陽光発電だ。FIT=固定価格買取制度や補助金などにより近年急速に普及が進み、2022年度のすべての発電量に占める割合は9.2%に及ぶ。一方で、各地に大規模な太陽光発電所の設置が相次ぎ、森林伐採などによって自然環境が脅かされる事例や大雨による土砂災害で周辺住民に悪影響を及ぼしたり、台風や地震などによって被害を受けるケースが増えている。 番組にゲスト出演した、主に公共施設の屋根上太陽光発電施設の設計から施工、保守管理までを手掛ける柴田工業代表取締役の柴田薫氏によると、屋外の地面に設置されるいわゆる“野立て”や一般的な屋根上の太陽光発電設備は、建築基準法の対象となる「建築物」ではなく、電気事業法に基づく「電気工作物」や建築確認申請が原則不要となる創作物の扱いになるため、設置の際の安全基準が緩く、あいまいな部分が多いという。 1枚あたり約20kgもある太陽光パネルを何枚も屋根に敷き詰める工事にあたって、ある程度の風速や風圧に耐えられる強度計算はされているが、パネルを支える架台の素材や強度、架台とパネルを固定するネジなどの部品の強度については詳細な安全基準は設けられておらず、柴田氏は「中国など海外で生産されたパネルには、冬は寒く夏は暑い日本の四季の温度差や湿度差を考えて作られていないものも多く、アルミなどの素材は伸縮して割れたりするもの多い」と指摘。自社では日本国内の使用環境に合わせた部品を独自に製造していると明かした。 また、戸建て住宅の屋根上に設置する場合、屋根が太陽光パネルの重みにどれほど耐えられるかの計算も十分に行われないまま施工されるケースも多く、地震などで建物ごと倒壊するケースもあるという。柴田氏は「建築基準法に基づく行政による建築確認もないため、問題が見過ごされがちだ」との懸念を示した。 石川は「2011年の東日本大震災による原発事故を受けて、当時の世の中の機運や政治的な思惑からとにかく早く太陽光発電を普及しようと、ある意味足かせとなる安全基準や規制は今の今まで多少後回しになってきた。段々意識が高まってきて、少しずつ安全基準はできつつあるが、根本的な建築基準という意味ではまだまだ甘いところがある」と指摘した。