悪魔とヴァイオリニストが怪しく美しく競演を果たす
19世紀に活躍したイタリアのヴァイオリニスト、ニコロ・パガニーニ。超絶技巧を駆使し「悪魔に魂を売った」と言われた彼の姿を、劇作家・演出家の藤沢文翁は“街外れの十字路で音楽の悪魔と血の契約を結んだ男”とした。2012年に朗読劇として上演、2022年にミュージカルとなって大きな反響を呼んだ物語が、2024年、再び美しき音楽の世界を描き出す。 ミュージカル『CROSS ROAD~悪魔のヴァイオリニスト パガニーニ~』に出演する中川晃教、相葉裕樹、木内健人 パガニーニの音楽と引き換えに彼の魂を得ようとする悪魔・アムドゥスキアスを演じるのは、2022年に続いて中川晃教。そしてパガニーニ役には、中川同様続投の相葉裕樹と今回初挑戦の木内健人。彼らが奏でる魅惑の音色に期待しつつ、その思いに耳を傾けよう。 ――再演に出演されると知った時、どんなお気持ちでしたか。 中川 この作品は朗読劇からミュージカルになり、さらにより多くの人たちに届けたいと最速で再演することになりました。アムドゥスキアスは誰の心にも潜んでいるけれど、怖いだけではなくて、ユーモアや温かみがあって憎めない。そういう悪魔をまた演じられることがとても嬉しいです。 相葉 パガニーニに、この作品に、もう一度挑めることが本当に嬉しい。台本から文翁さんの思いや創りたいものを前以上にていねいに読み取り、どこまで自分自身を追い込んでパフォーマンスできるのかが今回の課題だと思います。 木内 僕はいつか音楽家を演じてみたいと思っていたので、その機会をいただけてとても嬉しい。おふたりに追いつけるように体当たりで向かっていきたいですね。 ――皆さんはこれまでにも共演されていますが、お互いの印象は? 相葉 アッキーさんは、天賦の才に加えて血のにじむような努力をしている。アッキーさんがこんなにやっているなら凡人の僕はもっとやらないとダメだし、アッキーさんに信頼してもらえる自分でありたいです。 木内 アッキーさんは“なんでなんでマン”。常に「なんで」と疑問を突き詰めていく。以前先輩に「台本は100%信用するけれども、100%疑ってかかれ。ちゃんと読んで理解したうえで疑え」って言われた時、顔が浮かんだのがアッキーさん。自然にそれをやってらっしゃるんです。ばっちくんは、『レ・ミゼラブル』の時に緊張感を一番ほぐしてくれました。僕が行き詰った時、「好きにやればいいんだよ」って言ってくれて。 相葉 仲間として、楽しくやれたほうがいいし。 木内 優しいですよね。それとビジュアルがいい! 物語の軸として舞台に立つ人の輝きがあって、尊敬しています。 中川 ばっちは別の作品で共演した時に自分の目標に向かうために思っていることを話してくれた、素の瞬間が印象的で。その後は再会するたびに立派になって、一緒に作品を創っていくうえでとても頼もしい。 相葉 ありがとうございます! 中川 健人は、『CROSS ROAD』の世界にようこそ。稽古場で楽しみながら真摯にいろいろな球を投げ合っていきたいし、それができる人。 相葉 歌声が綺麗で踊りも芝居もなんでもできるし、フランクでざっくばらんに話せます。 木内 わぁ……嬉しい! ――改めて、作品の魅力をお願いします。 相葉 本当に素敵なキャストで、音楽も衣裳も照明もセットも素晴らしい。観ても聴いても楽しめます。再演ではより素敵な作品にできたらいいですね。 木内 この作品が面白くなるのに少しでも貢献できるよう、精一杯やりたいと思います。 中川 アムドゥスキアスは広い音域を縦横無尽に行き来するし、歌も演技もバネのような跳躍力、飛躍力が求められる。初演からどう進化させられるか、稽古場で皆と切磋琢磨したいと思います。 公演は4月22日(月)~5月12日(日)、シアタークリエにて。その後、大阪・福岡公演あり。 取材・文:金井まゆみ 撮影:源賀津己 ヘアメイク:松本ミキ<中川晃教>/成田幸代(&'s management)<相葉裕樹> スタイリスト:Kazu(TEN10)<中川晃教>/吉田ナオキ<相葉裕樹> <東京公演> ミュージカル『CROSS ROAD~悪魔のヴァイオリニスト パガニーニ~』 原作・脚本・作詞:藤沢文翁 作曲:村中俊之 編曲:江草啓太 演出:末永陽一 公演日程:2024年4月22日(月)~5月12日(日) 会場:シアタークリエ