阪本順治監督、モノクロ映画の魅力「光と影の世界」墨絵の映像美が一つの言語に
阪本順治監督が先日、都内で行われた第78回毎日映画コンクール表彰式に出席。『せかいのおきく』で脚本賞、更に志満順一氏が録音賞を受賞した。 『せかいのおきく』はモノクロの世界で描く、貧しくもたくましく生きる長屋の住人たちのみずみずしい生き様を描いた作品。 モノクロ映像について阪本監督は、「モノクロは光と影の世界、もう少しコントラストを付けたいとか、古長屋の汚れや、陰影をつけたいというのはありました」とモノクロでの撮影の思いを語った。 また黒澤明監督の名を挙げ「黒澤さんは柱の影を強調するために柱に墨を塗ったらしいんです。僕らは(共用のセットですから)それができないので水をかけて陰影をつけました」と明かした。 更に「墨絵のような映像の美しさがただの風景ではなく一つの言語になっていると思います」と述べた。