金子エミ「長男がダウン症で肛門の病気も発覚し」緊急手術後にパーツモデルの爪を短く切られたときの意外な「感情」
先生のおかげできれいに肛門ができて、腸とつながったのですが、人の体は放っておくと傷を塞いでしまうんですよね。塞がらないように、毎日肛門から金属製の棒を通してあげるようにと言われました。「赤ちゃんが小さいうちは棒ではなくて、お母さんの指を入れてあげるのが一番いいんだよ」と説明してくださっていた先生が、私の手を取って、「どうしてこんなに爪が伸びているの!」とおっしゃったんです。そして、「ちょっとハサミ持ってきて!」と看護師さんに指示をされて。「パーツモデルをしています」と説明する間もなく、その場でパパッと爪を切られてしまいました。
それまでの私は、きれいに爪を伸ばして、いつも手袋をつけて手をいたわっていました。こんなに爪を短くしてしまったら、もうパーツモデルとしては仕事ができなくなってしまうかもしれません。でも、その切り口がとてもきれいだったのを見て、「ああ、この先生に切っていただいたんだから、この子は大丈夫」と安心したんですよね。
■子育てを最優先に、爪を伸ばさなくてもできる仕事を ── 爪を伸ばせないと、パーツモデルの仕事には影響がありますね。
金子さん:そうですね。それからは、爪を長く伸ばす仕事はできなくなりました。結局10歳くらいまでは、うまく便が出ないときは指で出してあげていたんです。海人が産まれてからは、爪が短くてもできるパーツモデルの仕事と、あとは24歳のときに始めたネイルシール販売の仕事を中心にやっていました。 ネイルシールは、当初は自分で使うために作ったんです。当時はネイルアートがはやり始めた頃で、家で手軽にネイルアートができるグッズがあればいいのに、と思っていろいろなデザインを考えました。雑誌の取材でそれを見た記者の方に、「それいいですね、販売したらどうですか」と勧められて、商品化することになったんです。ネイルシールの走りですよね。PLAZAさんで販売してもらって、5年間くらいは売り上げナンバー1だったんですよ。海人を出産する1年前に、会社をつくって事業化しました。