ナチスに奪われたエゴン・シーレの「ひまわり」を巡るスリリングな駆け引き「オークション 盗まれたエゴン・シーレ」1月10日公開
ナチス・ドイツによって略奪されたエゴン・シーレの名画「ひまわり」を巡り、美術オークションの世界で繰り広げられる駆け引きをスリリングに描いたフランス映画「Le Tableau volé」が、「オークション 盗まれたエゴン・シーレ」の邦題で、2025年1月10日から公開される。本ビジュアル、予告映像、場面写真が披露された。 【フォトギャラリー】「オークション 盗まれたエゴン・シーレ」場面写真 2000年代初頭、フランス東部、スイス国境近くの工業都市ミュルーズ郊外の若い工員の家でひまわりを描いた風景画が見つかり、それがナチスに略奪されたウィーン分離派の流れをくむエゴン・シーレの作品であることが判明する。本作はこの歴史的事実に基づき、美術オークションの世界の駆け引きをスリリングかつ鮮やかに描いた知的でエスプリの効いたドラマだ。 的確に細部にわたって書き込まれたキャラクターとシャープでエレガントなダイアローグで紡がれる物語が、複雑な人間関係を軽妙にあぶりだす。今回は美術品のオークションの世界を舞台に、その業界の内部構造、富裕層と労働者階級の世界を見事に対峙させ、わずか数行のセリフで特権階級の残酷さを鮮やかに描き出す。皮肉を込めてリアルに描き出されたアート・ビジネスの世界と、綿密な取材に基づくオークションの臨場感が見どころだ。 監督はヌーベルバーグの中心的存在のひとりだったジャック・リベットの脚本を数多く手がけたパスカル・ボニゼール。ミステリーの女王アガサ・クリスティ原作の「ホロー荘の殺人」を映画化した「華麗なるアリバイ」(2008)など、監督としてもその手腕を発揮している。 一流の衣服を身にまとい、高級車を乗り回す一見スノッブで鼻持ちならない人物ながら、実は自己抑制の効いた熱血漢である競売人(オークショニア)アンドレを演じるのは、小説家・映画監督としても活躍するアレックス・リュッツ。アンドレの元妻で頼もしい仕事の相棒、いつも恋を求めているベルティナは2017年にフランスで大ヒットした「ジュリアン」でセザール賞主演女優賞を受賞した演技派レア・ドリュッケールが演じた。アンドレの部下となる研修生オロールに扮したのはフィリップ・ガレルやポール・バーホーベン監督作などでキャリアを重ねるルイーズ・シュビヨット。エゴン・シーレの絵を発見する、高潔な工場労働者マルタンには、スイス出身の新人アルカディ・ラデフ。 1月10日からBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国で公開。 <あらすじ> パリのオークション・ハウスで働く有能な競売人(オークショニア)、アンドレ・マッソンは、エゴン・シーレと思われる絵画の鑑定依頼を受ける。シーレほどの著名な作家の絵画はここ30年程、市場に出ていない。当初は贋作と疑ったアンドレだが、念のため、元妻で相棒のベルティナと共に、絵が見つかったフランス東部の工業都市ミュルーズを訪れる。絵があるのは化学工場で夜勤労働者として働く青年マルタンが父亡き後、母親とふたりで暮らす家だった。現物を見た2人は驚き、笑い出す。それは間違いなくシーレの傑作だったのだ。思いがけなく見つかったエゴン・シーレの絵画を巡って、さまざまな思惑を秘めたドラマが動き出す――。