60歳専業主婦、最近「熟年離婚」が頭をよぎるのですが、働いていない自分は「年金」を受け取れませんか? 自分1人の場合、老後はいくら稼げばよいでしょうか?
会社員や公務員に扶養されている専業主婦(夫)は、国民年金第3号被保険者として保険料を自己負担する必要がなく、将来は老齢基礎年金を受け取ることができます。 その一方で、もし万一配偶者と離婚や死亡などが原因で別れるような事態に直面すると、年金をもらえなくなるのではないかと不安に思う人も多いかもしれません。 本記事では、もしいま熟年離婚してしまったら、今まで保険料を負担してこなかった専業主婦(夫)は年金をもらう資格を得られないのか、もらえたとしても生活は困窮してしまうのかを会社員の夫と専業主婦の妻の例で解説します。 今回は話を分かりやすくするため、年金の未納や免除、猶予などの期間はなく、会社員や公務員である配偶者も保険料を満額納付しているものとします。 ▼高齢者の「4人に1人」は働いている!? 平均年収はどのくらい?
専業主婦(夫)が受け取れるのは老齢基礎年金
「配偶者」が会社員や公務員として働いていて、一定の要件を満たすと「厚生年金保険」に加入します。例えば、夫が正社員かつフルタイムで働いていると将来老齢厚生年金を受給できますが、専業主婦自身は加入していないので、老齢基礎年金のみ受け取る形となります。 国民年金第3号被保険者となる専業主婦(夫)は、保険料を自分自身で納付する必要がなく、保険料納付済期間として将来の年金額に反映されるのが大きな特徴です。保険料を満額納付している場合の年金額は、2024年4月以降だと月額6万8000円、年額では81万6000円です。
離婚したら年金分割の対象となる
万一離婚しても年金分割制度により、婚姻期間中の配偶者の厚生年金記録を相手と分け合うことができます。 年金分割は、「合意分割制度」と「3号分割制度」があり、前者は夫婦間の合意や裁判所による手続きで厚生年金記録の按分割合を決めます。後者は2008年4月以降の婚姻期間のうち、請求者が国民年金第3号被保険者であった期間における相手方の厚生年金記録を2分の1ずつ分け合うことができます。 3号分割制度は、当事者間の合意を必要としないところが大きな特徴です。つまり、離婚予定の相手が年金分割に難色を示したとしても、専業主婦(夫)の受給権が失われるわけではありません。原則離婚後に年金事務所へ標準報酬改定請求書を提出すれば手続きできます。 合意分割と3号分割はどちらかしか使えないわけではありません。合意分割請求が行われた際に、婚姻期間中に3号分割の対象期間が含まれていると、合意分割と同時に3号分割の請求もあったとみなされます。 3号分割は2008年4月以降の婚姻期間が対象となるため、それ以前の期間については合意分割の手続きが必要です。「自分は専業主婦(夫)だから3号分割の手続きだけすればいい」わけではないので要注意です。どちらの手続きをすればいいのか迷った場合は合意分割請求を行いましょう。