「信じられないと思うけど事実」新NISA民に投信のプロがこっそり教える“積立最強ファンド”
もっと上に下にと激しく動くはずだ。シャープレシオは低いはずだ。 でもS&P500なら500程度の銘柄に分散するし、オール・カントリーなら2千数百の銘柄に分散していることになるので、途中の上下動はそれよりは絶対に小さいだろう。それが分散を旨とするインデックスファンドへの投資ってわけだ。 でも、こと「積立対象」として考える場合、実は「シャープレシオが高いのがベスト」とは言えなくなる。これ、あんまり言われないことだけど、事実。 ● 積立はファンドの「軌跡」が 全てと言っても過言ではない 積立の場合は、そのファンドがどういう風に動いていくかという「軌跡」が大事。それがすべてと言っても言いすぎではないくらいに大事だ。 積立の場合、実は下のグラフのような軌跡の方がいい結果になるんだよね。 5年間の前半の約3年はずっと横這いで全然上がらず、後半からようやく上がっていく。最初のグラフと同じ16000円のところまで上がってくれて最後にホッとした感じかな。さっきのに比べるとまったく「優秀」じゃない。 でも、グラフの中に書いてあるように、このファンドへの積立の結果は85万9000円だ。 さっきの75万5000円よりも「優秀」な積立結果となっている。 理由はもうわかるよね。毎月買っていく積立の場合、この前半戦において、低い基準価額で仕込めていることが功を奏したわけだよね。 もっと面白いケースを見せようか。これです。 さっきのケースの前半戦はそうはいっても横這いだったけど、これはひどい。 積立を始めたすぐから下がっている。しかも1万円が4000円だから「暴落」と言ってもいいだろうな。 その後上がっていったけど、さっきのファンドたちのように1万6000円のところまでは上がれなかった。ようやく最後にスタート時の1万円に戻っただけ。
しかし、しかし、しかし。 もうグラフの中の数字に気付いてくれている通り、このファンドへの積立結果は91万6000円。これまで見たどれよりも「優秀」な積立結果となっていることに驚くよね。 もうわかってると思うけど、4000円までの下落局面において口数をたくさん仕込んで来たおかげだ。 その後の回復が1万円というスタート時点に戻るだけのものであっても、十分に大きく作用しているわけだね。 ドルコスト効果全開だ。もしここから基準価額が上昇していったら、前のグラフのファンドとの差はさらに拡がっていくことになる。 まさに僕の20年以上の積立はこういうことだった。 2回の激しい下落時に「下がっても嬉しいのが積立だ。上がるのは最後でいいのが積立だ」とばかりやめなかった。 そして僕の積立の「軌跡」は、結果的にはドルコスト平均法の理想形だったということだよね。 ● 値動きリスクと成長期待が 大きいファンドは一考の価値あり シャープレシオとは無関係の「積立向きの軌跡」という観点は、あまり言われないがとても大事なことだ。 1銘柄とかの個別株投資はまったく勧めないけど、「値動きのリスクは大きいが、長期の成長期待も大きい」といったタイプの投資信託は「積立向きの軌跡」を期待するファンドとして一考に値すると思う。 ロボティクスとかフィンテックといったイノベーションテーマは、長期のメガトレンドだと僕は思っているけど、そのテーマから選ばれるような企業の株式はまだ十分な利益が出ていなかったり、やっているビジネスが皆にちゃんと理解されていなかったりする。 既に出来上がっている、時価総額の大きな企業に投資するコンセプトではないんだから、そうなるよね。 するとどうしても短期目線の投資家がワッと買い上げてしまったり、サーッと引いてしまったりで、株価の動きが激しくなりがちなんだよね。 そして「残念ながらマーケットはひとつ」なもんだから、その値動きはそれらファンドの基準価額にも反映されて、激しい値動きのファンドということになる場合が多い。シャープレシオの低いファンドだね。