巨人ファンはもっとCSに怒ってもいいのでは? 今季「8ゲーム差」のDeNAに敗退…有名OBは「誰が考えてもおかしな制度」と指摘
セ・リーグも賛成
興行面は大成功でも、下剋上が起きてしまったのは問題だったはずだ。2004年のパ・リーグはプレーオフが始まる前、2位の西武は1位のダイエーに4・5ゲーム差を付けられていた。 それをひっくり返してしまったのだから、今のCSと全く同じ欠点が露呈していたことになる。だが世論もオーナーも「下剋上の問題点」を指摘することはなかった。それだけのインパクトがプレーオフにはあったということなのだろう。 「パ・リーグのファンは『最初にプレーオフを知った時は、無駄なことをするんだなと思ったが、実際に観戦するとあまりにも面白いので驚いた』という高評価ばかりでした。興行としても非常に収益性が高いことが分かり、セ・リーグでもオーナーの一部が賛成に転じました。具体的には巨人のオーナーになった清武英利氏が旗振り役を務め、ヤクルトも賛成。最後まで反対していたのは阪神と報じられましたが、最終的には2007年のシーズンからセ・リーグでも実施されることが決まったのです」(同・記者) 言うまでもないことだが、プロ野球にはスポーツとしての側面と興行としての側面がある。クライマックスシリーズは、オーナーが興行面を重視したことでスタートしたのは間違いない。改めて広澤氏に取材を依頼した。
借金を抱えても日本シリーズ進出
「私はポストシーズン自体は賛成しています。ただし日本のCSは3位のチームが勝ち上がって『下剋上、おめでとう』と褒められるわけです。12球団や18球団で3位なら分かりますが、6球団の3位は真ん中に過ぎません。今後、シーズンによっては1位と2位が独走し、3位のチームは負けが込んで借金を抱えてCSに出場、にもかかわらず日本シリーズを制して日本一になるというケースが起きる可能性があります。負け越したチームが日本シリーズに出場するのは、誰が考えてもおかしな制度だと思うはずです」 パ・リーグのCSでは3位のロッテが2位の日ハムに敗れ、1位のソフトバンクが勝利した。レギュラーシーズンと同じ結果になったわけだが、ならばCSを開催する意味があるのかという疑問も湧く。 「パ・リーグはファイナルステージでソフトバンクが勝利したので、批判の声は出ませんでした。しかし結局のところ勝負は時の運です。日ハムが4連勝して日本シリーズ進出を決めても全く不思議ではありませんでした。もしそうなれば、13・5ゲーム差がひっくり返されたことになってしまいます。異論が続出したのは間違いありません」(同・広澤氏) 23年の記事ではCSの改革についても触れた。「4チームの3リーグ制とし、優勝できなかった9チームのうち勝率1位のチームをワイルドカードで選出。4チームでポストシーズンを戦う」という改善案について広澤氏に考えを訊いたのだ。 広澤氏の回答は「この意見に私が賛否を示すつもりはありませんが、非常に建設的な内容で傾聴に値するものだと考えています」というものだった。 デイリー新潮編集部
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