地域新電力会社を来月設立 社名は「山口グリーンエネルギー」【山口】
山口市は18日、準備を進めてきた地域新電力会社について共同出資する民間企業や団体と合弁契約書を締結した。合わせて社名を「山口グリーンエネルギー」とし、4月1日付で設立すると発表した。 市清掃工場(大内御堀)の廃棄物発電で二酸化炭素を排出せずに発生した電力を地域新電力会社で購入し、2022年11月に選定された脱炭素先行地域(76㌶)にある新市役所(整備中)や中心商店街に売却する。再生エネルギーを地産地消し、公共施設の電気料金を抑えるとともに、利益を街中居住の推進や商店街の活性化に生かす。 新会社の資本金は1000万円で、市の出資金は510万円。グリーン発電事業のNTTアノードエナジー(東京都)、山口ケーブルビジョン、山口銀行、萩山口信用金庫、山口商工会議所が出資する。自治体が出資する地域新電力会社は、県内では宇部市についで2番目。社長には田中和人副市長、取締役には山田豊成市環境部長とNTTアノードエナジーから1人が就く。社員は新たに2人を採用する。監査役に山口銀行と萩山口信用金庫から各1人。所在地は清掃工場内とし、25年度から中心市街地に移転する。 新会社設立後、事業登録などの手続きを経て25年1月から送電を開始する。26年度までは公共施設に供給し、27年度以降、中心商店街の店舗や家庭へ送電を開始する見通し。 当初の電源は清掃工場だけで、供給量は年間1600万㌔㍗時。新市役所や白石交流センター、神田最終処分場、菅内最終処分場に太陽光パネルを新設して電力の供給量拡大も段階的に進め、28年度で年間2100万㌔㍗時を目指す。 送電開始後の事業収支は黒字で推移を見込むが当面、利益は内部留保とし、役員への報酬と株主配当も行わない。経営安定化後、利益を活用したまちづくりに着手する。 同日、湯田温泉4丁目のかめ福オンプレイスで開かれた契約書締結式には、伊藤和貴市長とNTTアノードエナジーの岸本照之社長ら出資企業、団体の代表5人が出席した。伊藤市長は「地域脱炭素の担い手となる新電力会社を通じて安心・安全な活力ある地域づくりを進めたい」と意欲を見せた。