韓国補選で与党「大勝」朴大統領の支持率も回復する? /辺真一「コリア・レポート」編集長
「ミニ総選挙」と注目された韓国の7月30日の国会議員再・補欠選挙(15か所)は与党(セヌリ党)11、野党(新政治民主連合)4と、与党の圧勝に終わりました。与党は15議席中、改選前は9議席を占めていましたので、数の上では圧勝といっても、たった2議席増やしただけですが、ソウルを中心に激戦区で野党候補が一本化に成功したことに加え、逃亡中の沈没客船「セウォル号」の実質オーナーが変死体で発見されたこともあって「苦戦するのでは」と予想されていました。それだけに11議席も獲得したことは与党にとっては大勝と言えます。
選挙結果をどう見る
特に朴槿恵(パク・クネ)政権の支持率が急落している最中に、野党が強いソウル及び京畿道の首都圏で5つのうち4つを制したこと、さらには野党の牙城である全羅南道で26年ぶりに議席を獲得したことの意味は大きいと言えます。 事前予想では投票率が低ければ与党、高ければ野党有利と言われていましたが、いざ蓋を開けてみると、そのジンクスは破られ、全体の投票率(32.9%)よりも高かったソウル市銅雀乙(46.8%)をはじめ6つの地区のうち5つではいずれも与党候補が勝利を収めていました。
与党勝利の要因は
与党の勝因は、経済の活性化を訴えた選挙戦術が、朴槿恵政権の無能ぶりを焦点にしようとした野党の選挙戦術より功を奏したことに尽きます。「セウォル号」沈没事故の後遺症による景気低迷とウォン高による経済停滞で民心不安が生じたことを逆手に「経済回復」や「庶民経済の活性化」を前面に打ち出し、中産層から庶民層まで幅広い共感を得たことが最大の勝因と言えます。換言するならば、「セウォル号」の責任追及一本槍だった野党の選挙戦術の失敗に助けられたとも言っても過言ではありません。 野党は「セウォル号」の運行会社の実質オーナー兪炳彦(ユ・ビョンオン)容疑者の身柄を拘束できなかったことや総理人事の相次ぐ失敗などを問題にしてこの選挙を「朴槿恵政権への審判」と位置付けたが、有権者は「6月の地方自治体選挙でみそぎが済んだ問題をまた持ち出すのか」と冷ややかでした。