歯周病治療、3Dプリンターで欠損部再生 広島大病院のグループが技術開発
広島大病院(広島市南区)と再生医療ベンチャーのサイフューズ(東京)は5日、歯周病で失われた組織と同じ大きさの細胞の集合体を3Dプリンターで作り、患部に移植して再生させる技術を開発したと発表した。実用化されれば、治療困難だった重症患者への利用が期待される。 【イメージ図】歯周組織の再生療法 同病院口腔(こうくう)検査センターの加治屋幹人教授たちの研究。さまざまな細胞に分化する「間葉系幹細胞」を、患者の骨髄から採取して培養し、直径約1ミリの球状の細胞塊をいくつも作る。その細胞の塊をサイフューズ社のバイオ3Dプリンターで立体的に積み重ね、歯周病による欠損部分の形に合わせた一辺が数ミリほどのブロックにして移植する。 ラット実験で、歯槽骨や歯周靱帯(じんたい)の再生を確認。2023年3月に特許を出願し、ことし9月に公開された。早ければ26年からヒトでの臨床研究で安全性などを確かめ、29年ごろの実用化を目指す。 歯周病は、歯槽骨などの歯周組織が細菌で破壊されて起きる。糖尿病や誤嚥(ごえん)性肺炎、認知症のリスクを高るとされる。この日、同病院であった記者会見で、加治屋教授は「どんな重度の歯周病患者にも治療法を提供できるように研究を進めたい」と話した。
中国新聞社