滑り込みで出馬表明「上川陽子外相」の胸中とは 総裁選は“初の女性総理”への布石となるか
一時は“本命視”されていたが
「総裁選に立候補し、難問から逃げず国民と新たな日本を築いていきたい」 風雲急を告げる「自民党総裁選」告示日が翌日に迫った11日、9人目の候補者として名乗りを上げたのは上川陽子外務大臣(71)。一時は“本命”と目されながらも、推薦人集めに苦労し、期限ギリギリに滑り込みでの出馬表明となった。 【写真】「わぁ、こんなにきれいな人がこの世にいるのか!」 世論調査で上位につける石破茂氏は慶大時代、妻・佳子さんにひとめぼれしたという
昨年半ば以降、岸田政権の支持率低迷が顕著になると、上川氏への“政権禅譲説”が囁かれ、麻生太郎副総裁による後押しも取り沙汰されるようになった。 上川氏は東大卒業後、三菱総研勤務を経てハーバード大の大学院へ留学。米上院議員の政策立案スタッフも経験した。2000年に衆院静岡1区で初当選を果たし、現在までに当選7回、法務大臣を3度務めた。輝かしい経歴の一方で、安倍政権下の法務大臣だった18年には、オウム真理教の麻原彰晃元死刑囚らに死刑執行を命令している。 だが、“総裁候補”として知名度が上がるにつれ、ネガティブな報道も増えていった。麻生氏が上川氏について「このおばさんやるねぇ」と発言したことへの対応や、静岡県知事選で上川氏自身が「この方を私たち女性がうまずして何が女性でしょうか」と発言し、後に撤回したことも批判的に取り上げられた。
旧岸田派の議員も驚いた
政治部記者が付け加えるには、 「自民党を大きく揺さぶった一連の裏金事件を受けて、岸田総理は事実上の“引責辞任”に追い込まれています。その岸田内閣で重要閣僚を務め、しかも、旧岸田派に所属していた上川外相が総裁選に出馬すれば、厳しい視線が向けられるのは当然と言えば当然でしょう」 結果、追い風ムードはどこへやら、次期総裁候補として上川氏の名前を聞く機会は減っていき、取って代わるように小泉進次郎氏や小林鷹之氏らの名前がメディアを賑わせるようになった。にもかかわらず、彼女が総裁選への出馬に踏み切ったのはなぜか。 先の政治部記者が続ける。 「周辺を取材していると、上川さんは当初から岸田総理や麻生氏といった大物の後ろ盾をアテにするわけではなく、むしろ“ゼロからのスタートでどこまで支持を伸ばせるか”を意識していたように見えます。実際、総裁選を戦う上で、上川さんを支える参謀的な役割を果たす存在も見当たらなかった。彼女の出馬情報が永田町を駆け巡ったときには、旧岸田派の議員まで驚いていたほどです」 その上で、上川氏が選んだ戦術は「議員1人ひとりに自ら当たり、直接口説いて支援を求める」という何とも泥臭いものだったという。