世の中のためなら溶接にこだわらない ベトナムでうどん店を開業する製造業
部門長を刷新 改革がスムーズに
しかし、心の底ではこのままではいけない、改革する必要があると、特に2代目は考えていたようだと、原さんは言います。そのため原さんに代表の座を渡す際、部門長を刷新。原さんの改革を進めやすくしての勇退となりました。 「とてもありがたいことでした。新しく抜擢されたメンバーは、ふだんから忖度なしに意見を交わしてきたメンバーでしたからね。前任は定年を迎える年齢であったこともあり、特に反発がなかったことも大きかったです」 代表となった原さんは、まずは社員に宣言をします。「これからは各部門がコミュニケーションを取り合い、自分たちで意思決定をしていく。そのようなフラットな組織を目指します」 管理会計のスキームを整備し、情報を共有。管理会計の考えや会計スキル自体を高めてもらおうと、部門長に対して勉強会なども実施しました。人事評価制度も作成し、一人ひとりが必要なスキルも明確にしていきました。
顧客ごとにアプローチを変える体制へ
それまでざっくりであった見積もりは細かくなり、利益率が低いことが判明した顧客に対しては、製品価格を上げることで対応するなど、顧客ごとにアプローチを変えるなどの変化も生まれます。提案の際にも、裏付けとなる資料がそろっているので、説得力が備わりました。 生産性向上に対する考えも変わっていきました。他部門の状況を意識していないため、改善が他の部門の負担となっているようなケースもありました。 「部門長を集めて話し合う場を設け、その場で情報交換を行ったり、価値観の共有なども進めたりしていきました」
受注の波に対応するため デジタル化を推進
改革を進めた結果、売上や利益率は順調に伸びていきました。そんな矢先、新型コロナの緊急事態宣言による受注減、大幅な減収となります。さらには以前にも増して、受注の波も激しくなりました。 「仕事がぜんぜんない月が続いていたと思ったら、突然、大量の仕事が発生する。そのような状況が日常的になりました」 そこで原さんは、人件費を含めた固定費を抑えることにします。これまでは定年退職などで減った人員は適宜補充していましたが、新たな採用をすることなく、作業の効率化で対応しようとしたのです。各種ITツールの導入です。 Teamsを導入することで、リアルや電話でのやり取りから、ネット、チャットに移行。図面や写真なども添付することで、コミュニケーションコストやトラブル発生時の対応コスト削減を実現していきます。 ペーパーレス、電子化も推し進めます。「i-Reporter」という電子帳票システムを導入することで、手書きだった日報はデジタルに。また基幹システムとして在庫管理システムは導入していましたが、レポートはExcelなどで作成していたため、Automation AnywhereというRPAツールを使うことで、自動化を実現します。