生理が続くことで疾患が増加? 性感に影響しない?「意外と知らない子宮の事実」
4月9日は「子宮(しきゅう)の日」。毎年この日は、子宮頸がんの予防・早期発見・早期治療のためのキャンペーンが展開されている。マザーキラーとも呼ばれる「子宮頸がん」はときに命に関わるため若い世代から予防が大切な病気だ。だがそれ以外にも、月経のたびに症状が進行していく子宮内膜症、30歳以上の女性の約4人に1人できるとされる子宮筋腫など、子宮に関連する病気はとても多い。そして女性のライフステージや生き方に影響を及ぼしている。 【マンガを読む】妊娠中に子宮頸がん!?『コウノドリ』の名作エピソード限定公開中! 健康な体で過ごしていくためには、子宮とのどんな付き合い方が大事になるのか。年代ごとに注意したい疾患を知っておくことはもちろん、子宮を守るために私たちができるアクションや病気などで子宮を摘出しなければならないときの心構え、心身への影響はあるのかなどについても知っておきたい。この機会に「子宮」にしっかりと向き合ってみよう。後編も、産婦人科医でよしかた産婦人科 院長の善方裕美医師にお話を伺っていく。
子宮の病気が現代女性に増えている理由
前編では、子宮について出産まで赤ちゃんを育てることが主な役割であること、その大部分は筋肉で妊娠時には何倍にも膨らむ屈強な臓器であること、内側は子宮内膜で覆われ、毎月新鮮な内膜を用意するために月経(生理)が起こることなどを紹介した。さらに「子宮の一生」にも目を向けた。子宮の大きさは年齢によって変わり、性成熟期の前半20歳-30歳ごろには最大の鶏卵大になる。そして閉経後は女性ホルモンの欠乏とともに萎縮して小さくなっていく。 現代では、子宮の病気がとても増えていると言われる。月経困難症に子宮内膜症、子宮筋腫、子宮がん(子宮頸がん、子宮体がん)、子宮脱など、幅広い年齢層の女性が子宮の病気のリスクにさらされているのはなぜだろうか。 「妊娠・授乳中は月経が来ないため、多産だった昔の女性は生涯の月経数が50~100回。それに対して、初経年齢が早くなり、出産年齢が遅くなり、そもそも産む子どもの数が減っている現代女性の生涯月経回数は450回と、100年前の9倍までに増加しています。月経がなんども繰り返されることは子宮や卵巣の負担になりますし、女性ホルモンの波にさらされ続けることで子宮内膜症や子宮筋腫といった病気のリスクが上がっていきます。出産経験がない人は、ある人に比べて乳がんや子宮体がんなどにかかる率も高いことがわかっています」 月経を繰り返すことで、生理痛や経血の煩わしさなど毎月のつらさだけではなく、病気の発症リスクも高めてしまっているのだ。