「推し活」にも 実物そっくりのフィギュア制作 3Dの知見生かしエンタメ分野に参入する測量会社の挑戦
アバターも制作、VR需要探る
測量会社のフリースケール(長野県長野市)は、全身撮影のできる3D(3次元)スキャナーを使ったフィギュア制作事業に参入する。得意とする3D測量の知見を生かし、エンターテインメント分野に事業を広げる試み。精密なデジタルアバター(分身)も制作でき、VR(仮想現実)関連の需要も掘り起こす計画だ。 【写真】実物そっくり! 3Dスキャナーを使って作った社長のフィギュア
一瞬で全身を撮影、持ち運びも可能
2021年設立のスタートアップ(新興企業)のArcana(アルカナ)製作所(長野県東御市)が開発した3Dスキャナーを活用。被写体を囲むように組んだフレームに97台のカメラが付いており、一瞬で全身を撮影する。フレームの分解、組み立てが容易で、必要な場所に持ち運べる。
最短3分で3Dモデルに変換
カメラから取り込んだデータは、最短3分で3Dモデルに変換。フルカラー造形に対応した3Dプリンターにつなぎ、実物そっくりのフィギュアを作る。3Dモデルは、インターネット上の仮想空間「メタバース」などで、自分のアバターとして活用することもできる。
長野県内の企業の導入は初
Arcana製作所によると、3Dスキャナーは23年に発売し、これまでに全国で30台ほどを販売。長野県内の企業の導入は初めてという。
フリースケールは、建設工事分野で事業展開してきたが、エンターテインメント分野への進出に向け、竹内浩一社長が23年に新会社のDXテクノロジー(長野市)を設立。同社がフィギュア事業を担う形で、年内にも本格始動する予定だ。
コスプレーヤーが集まるイベントに
3Dモデルの作成は1ポーズ1万1千円で、フィギュアの制作は大きさによって別途数万円程度の料金を想定。持ち運びできるスキャナーの特長を生かし、アニメなどの登場人物に扮(ふん)したコスプレーヤーらが集まるイベントやコンセプトカフェ、ライブハウスなどへの出張を予定する。
「推し活」と組み合わせた展開も
好きなアイドルなどを応援する「推し活」と組み合わせた展開も構想している。竹内社長は「企画と営業力で市場を開拓したい」と話した。