アスベスト訴訟で国と短期で和解 73歳男性の請求通り「満額」支払い「意義がある」
京都府宇治市の日本レイヨン(現ユニチカ)宇治工場で働いていた同市の男性(73)がアスベスト(石綿)を扱う作業が原因で中皮腫を発症したとして、国に損害賠償を求めた訴訟は、14日に京都地裁で和解が成立した。国は男性の請求通り損害賠償金1265万円を支払う。 男性が7月に提訴していた。代理人を務めた京都アスベスト弁護団は「4カ月と短期での和解は珍しく、被害者救済にとって意義がある」と国の対応を評価した。 訴状によると、男性は1969~79年、繊維製品の製造過程で保温材として石綿を使用していた宇治工場で石綿の粉じんにさらされた。2003年に同社を退職し、昨年9月に中皮腫を発症した。 石綿被害を巡る訴訟は国の責任を認めた14年の最高裁判決以降、一定の基準で国が和解に応じている。弁護団は、国から詳細な証拠を求められて訴訟が長期に及ぶ場合もあるとし、「疾患を抱える人にとって早期に補償を受けられることは大きい」と話した。弁護団は石綿被害の相談を受け付けている。問い合わせは075(256)1891。