松井裕樹、デビューから10年続く“ジンクス”は今年も継続? メジャー1年目の「苦戦」は織り込み済み……本領発揮は来年か
◆ 日本屈指のストッパーに立ちはだかる“メジャーの壁” 現地3日(日本時間4日)、ナ・リーグ西地区で2位につけているパドレスは、敵地エンゼル・スタジアムでエンゼルスに1-2で敗戦。前日のロイヤルズ戦に続く1点差での逆転負けで、3連戦の初戦を落とした。 2日のロイヤルズ戦で9回裏に3点を献上し、メジャー初黒星を喫したのはメジャー1年目の松井裕樹だった。この日も手に汗握る投手戦となったものの、松井の名前が呼ばれることはなく、前日の借りを返す場面はなかった。 松井の今季成績を改めて振り返ると、ここまでチーム最多タイの27試合に登板し、3勝1敗、防御率3.91というもの。4月中旬時点で0点台、5月終了時点で2.88だった防御率は、ロイヤルズ戦の“炎上”で一気に1点以上も悪化。勝利の方程式を担うセットアッパーとしては、防御率4点台突入だけは避けたいところだろう。 ただ、現時点の松井の成績は想定の範囲内ともいえるだろう。かつてWBCで苦しんだメジャー球や、自身初体験となるピッチクロックなど、“ルーキー”松井がメジャーの環境にすぐ対応できるかどうかについては悲観的な見方も少なくなかったからだ。 実際、楽天時代は10シーズン全てで奪三振数が投球回数を上回っていたものの、今季はここまで25回1/3を投げて20三振。その一方で四球は15個と、制球力という課題も浮き彫りとなっている。 ◆ 偶数年は苦戦する“松井の法則”とは? ただ松井が今季苦戦を強いられることは、ある意味で織り込み済みだった。 というのも、18歳で迎えたプロ1年目の2014年から一貫して続いていることがあるからだ。それが、好不調の波が1年ごとに来ているという事実。楽天時代の松井の成績を見ると、その意味が分かるだろう。 【松井裕樹、楽天時代の年度別成績】 2014年27試合4勝8敗 0セーブ 防御率3.80 2015年63試合3勝2敗33セーブ 防御率0.87 2016年58試合1勝4敗30セーブ 防御率3.32 2017年52試合3勝3敗33セーブ 防御率1.20 2018年53試合5勝8敗 5セーブ 防御率3.65 2019年68試合2勝8敗38セーブ 防御率1.94 2020年25試合4勝5敗 2セーブ 防御率3.18 2021年43試合0勝2敗24セーブ 防御率0.63 2022年53試合1勝3敗32セーブ 防御率1.92 2023年59試合2勝3敗39セーブ 防御率1.57 ご覧の通り、松井はプロ入り以来、防御率を2年連続で良化させたことも、悪化させたこともない。22年こそ1.92という優秀な防御率だったが、それまで偶数年の防御率は常に3点台だった。逆に奇数年は0点台か1点台という安定感を発揮していた。 この法則に従えば、2024年の松井は不調に陥る年。“無双”するであろう来季に向けて、まずは今季をケガなく、防御率も3点台で終えることができれば上々といえるかもしれない。 文=八木遊(やぎ・ゆう)
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