ボーイングを米司法省が訴追へ、有罪認めるよう迫る-関係者
(ブルームバーグ): 米司法省はボーイングを詐欺罪で訴追する方針だと、事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。同社は有罪を認めるか、裁判で争うかの選択を迫られることになる。
司法省は6月30日の会合で、2件のボーイング737MAX墜落事故の犠牲者遺族とその弁護士に対し、有罪を認めるかどうかを週末までに決断するよう同社に求めたと伝えた。情報の部外秘を理由に同関係者らが匿名で語った。
関係者2人によれば、司法省はボーイングに対し、追加で2億4360万ドル(約393億円)の罰金を科すと伝える。同社は2021年の訴追延期合意(DPA)の一環として既に同額を支払っており、罰金総額は5億ドル近くに膨らむことになる。同社はさらに、監視役を3年間雇うことを義務付けられるという。
ブルームバーグが内容を確認した電子メールによれば、司法省の詐欺捜査担当部門とテキサス州北部地区の連邦検事事務所の担当者が6月30日の会合に出席した。
墜落事故遺族を代表するポール・キャセル弁護士は、司法省がボーイングに提示する司法取引内容は同社に甘いと批判。「ボーイングの犯罪で346人が死亡したことを一切認めない内容だ。遺族はこの司法取引に強く反対するだろう」と電子メールでコメントした。遺族側は約250億ドルの罰金を科すよう求めていた。
司法省とボーイングはいずれもコメントを控えている。
ブルームバーグは先に、ボーイングが737MAX墜落事故に関連する問題の決着に向け、米司法省と協議中だと伝えていた。
刑事責任を認めることは、100年にわたるボーイングの歴史でどん底を意味する。かつては慎重で厳格な社風で知られた同社にとって衝撃的な展開だ。ボーイングは現在、民間航空機事業の収益の落ち込みを補うために防衛部門に依存しているが、今回の件により、米政府との契約の先行きに懸念が生じている。
今年1月には、アラスカ航空が運航するボーイング機の胴体の一部が吹き飛ぶ事故が発生した。