会場に悲鳴!3度転倒し号泣の五輪金、ザギトワの世界フィギュア5位敗因は?
元全日本2位で現在、福岡で後進を指導している中庭健介氏は、ザギトワの敗因をこう分析している。 まずは、技術面。後半集中型のプログラムが裏目に出たという。 「五輪でも議論となりましたがザギトワの1.1倍となる後半にすべてのジャンプを集中させたプログラムは諸刃の剣です。ひとつ大きなミスをするとスピードにも乗れず、しかも音楽(音)に遅れて、音を追いかけながらの演技により、焦りも生まれ、次から次へとジャンプが詰まっているだけに、ミスを連鎖してしまう危険性があるのです。前後半に分かれていれば、まだ立て直しする余裕もあるのでしょうが。ショートプログラムからそうでしたが、オリンピックの時よりもジャンプに、浮き、キレがなく重たく見えました。コンディションそのものに問題があったのかもしれません」 中庭氏が次に理由として挙げるのが“五輪後遺症”だ。 「平昌五輪からわずか1か月です。メダリストは、どうしてもメディア対応や祝賀行事などで、スケジューリングがイレギュラーとなり練習時間の確保や体調面のコントロールがむずかしくなります。これは宮原選手や宇野選手にも言えることかもしれません。そしてモチベーションの問題もあります。やはり五輪までは気持ちがはりつめ金メダルを獲得してホッとして、次へのモチベーションを保ちにくい状況にはなるのでしょう。そうなると、メンタルのコントロールも難しくなります。ザギトワが五輪と同じような演技をできなかった原因は、こういうところから来ているのかもしれません」 確かにまだ15歳。心身ともに微妙な時期の少女は凄まじいプレッシャーの中、五輪で金メダルを獲得した。さらに、ここでも、同じような結果を求めるのは酷だったのかもしれない。 だが、冷静に演技のすべてを機械のように完璧にこなすザギトワも、どこかに弱さを持つ15歳の少女であることがわかった。会場を包んだ悲鳴と、もらい泣きをしているファンの姿が目立ったのは、敗れたザキトワに“人間・ザギトワ”の部分が見えたことが理由だったのかもしれない。