人口64万人の小国が抱くEURO出場の夢 予選で通算101敗と負け続けてきたチームの逆襲劇「違いを生むのは国の規模ではない」
いざ勝負のプレイオフへ
21日より、EURO2024出場を懸けたプレイオフがスタートする。本大会出場へ最後の戦いとなるわけだが、このプレイオフに特別な思いで臨む国がある。 プレイオフ準決勝でジョージアと対戦するルクセンブルク代表だ。 ルクセンブルクはお世辞にも強いチームとは言えず、これまでEUROとワールドカップの本大会に出場した経験はない。ワールドカップ欧州予選は通算8勝10分124敗、EURO予選は通算13勝13分101敗と負け続けてきたのだ。 しかし、今回のEURO予選ではアイスランドやボスニア・ヘルツェゴビナといった国を抑え、グループJで勝ち点17を稼いで3位に入った。これだけでも同国にとっては大きすぎる一歩だ。 英『BBC』によると、ルクセンブルクサッカー連盟のポール・フィリップ会長は長年をかけた努力が実を結ぼうとしていると語り、今回のプレイオフに大きな期待をかけている。 「我々は非常に小さな国であり、これほど高いレベルでプレイしているという事実は本当に凄いものだ。確かに、我々は欧州予選で突破候補となるような国ではない。しかし、サッカーでは多くのことが可能だ」 「昔はプロ選手がほとんどいなかったか、まったくいなかった。その後、2001年に我々はナショナル・フットボール・アカデミーを設立した。これが始まりであり、成功だったと思う。成功のカギは、12歳から19歳の若い選手たちがほぼ毎日トレーニングし、週に1回の親善試合を行うフットボールアカデミーを設立したことにある。20年以上経った今、私たちのアカデミーのおかげで約20人のプロ選手が海外でプレイしている」 ルクセンブルクの人口は64万人ほどとされる。環境的には不利かもしれないが、近年は人口が37万人しかいないアイスランド代表がEUROやワールドカップに出場している。同会長はアイスランドの躍進にも勇気をもらったと語る。 「二つの異なる国を比較するのは難しいが、アイスランドはサッカーでもハンドボールでも小国に何が可能かを示してきた。違いを生むのは国の規模ではなく、考え方だという点で、これは見習うべき例だ」 そのアイスランドもプレイオフに参戦していて、ルクセンブルクとのダブル出場もあり得る。 ルクセンブルクは準決勝のジョージアに勝てれば、ギリシャVSカザフスタンの勝者との決勝を行う。簡単なミッションではないが、ルクセンブルクの悲願は叶うか。
構成/ザ・ワールド編集部